子どもが混乱して不安を感じているときは、正論を言うのではなく、脳育てのチャンスと考えましょう。

「ぶっ殺す!」「死ね!」「バカじゃねえの?」などのキツい言葉を子どもに吐かれると、感情的に耐えられなくなる親御さんもいらっしゃいます。私たちのもとに来た親御さんに、このようなケースがありました。

ケンカをして子どもに「死ね」と言われ、感情的になり、「私はいらないのね。じゃあ、お母さん、出ていくから!」と返してしまったのです。

子供の不安な気持ちに寄り添うのがベスト

いくらキツい言葉を投げかけられたとしても、親が「出ていくから!」と言うのは、子どもに対する「脅迫」にほかなりません。経済的に自立する前段階である子どもは、親に育ててもらうことでしか生きていくすべがありません。親が「出ていきたい」などと言うと、感情の行き場をなくし、追い詰められてしまいます。

子どもの暴言に耐えられなくなったときは、「じゃあ、もう寝るね。おやすみ」などとだけ言って、いったんその場を離れるようにしましょう。

そして、夫に「こんなことがあった」と話を聞いてもらいましょう。私たちのような「第三者」に相談を持ちかけるのもいいと思います。

一緒に歩く家族
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不安の強い子に「しっかりしなさい」はNG

ちゃんとできるか心配 オサム(小3)
明日はサッカーの試合。「ちゃんとできるかな?」とオサムは不安でいっぱいです。心配性なので、肝心なシーンになるといつもプレッシャーに耐えられなくなってしまいます。
もっと堂々と自信を持ってほしいと思っているのが父親。オサムが弱音を吐く度に、「もっとしっかりしなさい!」と励ましています。
そんなある朝――。「めまいがする」とベッドから起きられなくなったオサム。病院に行くと、起立性調節障害と診断されてしまいました。診断を受けてから1カ月たった今も、まだ学校に行けていません。

自身がスポーツなどの部活動を一生懸命やってきた、いわゆる「体育会系」の親御さんほど、「もっとしっかりしなさい!」と言いがちです。自分が頑張ってきたからこそ、子どもにも「あなたにも越えられるはず」と押しつけてしまうのでしょう。

オサムは不安傾向が強く、「お父さんの言うように頑張らなくちゃ」と思ってしまう、典型的な「いい子」です。

起立性調節障害は「いい子」にも多い病気といわれていますが、ある朝、突然起きられなくなるわけではありません。実は、発症する前から徐々に、「気分」「からだの反応」「行動」「考え」にストレス反応が起こり始めています。