アフリカの「巨大利権」はプーチンに引き継がれる
ロシアの傭兵集団「ワグネル」を率いたエフゲニー・プリゴジン氏の死後も、ワグネルとロシアがアフリカを牛耳る構図には大きな変化がないのかもしれない。
海外各紙は中央アフリカなどで傭兵ビジネスを展開し、金鉱など天然資源の利権を牛耳るワグネルの事業をプーチン大統領が整理・引き継ぎを図っていると報じている。
ワグネルはこれまで、アフリカ、特に中央アフリカ共和国(CAR)で政府を対象とした警護サービスや武器の提供ほか、独自ブランドのアルコール販売などを通じ、ロシアのイメージ向上策を展開してきた。
米公共放送のPBSはこうした警護サービスについて、「ワグネルの帝国は広大であり、特にアフリカではロシアの影響力を広め、不安定さを助長するために、およそ12カ国に約5000人を派遣した」とする専門家による分析を報じている。
その結果、アフリカ諸国には、ワグネルやロシアに恩義を感じている政府が少なくない。こうした政府は、ワグネルの戦闘員がアフリカ現地で繰り広げている略奪や人権侵害からは目を背け、国を守る英雄として扱っている。
アフリカの国々が「親ロシア」になった理由
ロシアがアフリカへの影響力を強めることで、国際政治のバランスにも影響を及ぼしかねない。国際協力機構(JICA)の坂根宏治・スーダン事務所長は、笹川平和財団が発信する国際情報ネットワーク分析IINAに寄稿し、ロシアによる国連への影響力増大に懸念を示している。