経営者はバスガイド。真っ先に落ちていく

経営者というポジションは、誰もが一度は憧れる。自分の考えひとつで、みんなに指示を出せるからね。

でも、指示を出すのって、たとえたらバスガイドのようなものなんだ。

後ろ向きで「はい、こっち。次はこっち」と旗を振る。断崖絶壁に気づかず、後ろ向きのまま社員を誘導していたら、真っ先に落ちるのは経営者。ダンプカーが突っ込んできたら、最初の犠牲者になるのも経営者。そんなポジションなんだよね。それを見て、みんなは「危なかった! ギリギリセーフ!」って止まれるけど。

バスガイド役をやるべきか、やらざるべきか。

俺の個人的な意見は、別にやらなくてもいいし、やる必要もないんじゃないかな、とさえ思う。会社経営によっぽどの思いがあれば別だけどね。

もし、何となく憧れるという程度だったら、バスガイドの後ろについて「進行が遅い!」とか「もっといい場所に連れていけ!」と文句を言うだけにするとか、「ここより、あっちのほうが面白そうだ、楽しげな夜の街に連れていってくれそうだ」と観光バスを乗り換えるだけにしておいたほうがいいと、俺は思う。

会社に渋々残ってもチャンスは必ずまた来る

同級生の会社社長から聞いた話だが、大企業もまだ60歳定年が多く、雇用延長制度もあるにはあるが残る人は給料70%減も当たり前らしい。また、省庁の人と会った際に、「省庁はもっと減額ですよ」とも聞いた。

年金受給のタイミングとして60歳から65歳のはざまにいる人の扱いは本当にひどいと思う。給料70%減ということは100万円もらっていた人が30万円ぐらいになっちゃう。最初は、元の給料の7割に減額だと思っていた。それが、7割減。問答無用だよな。

給料はすずめの涙みたいな額になったけれど、お飾り的な役職をもらえる人もいる。まあ、精神衛生上は役職があったほうがいいだろうね。ポジション的には管理職、監督職みたいなものかな。

でも、翌月から1円も金が入ってこないことを考えると、給料が50万円から20万円、15万円に下がったとしても、そこにとどまるのもひとつの勇気だし、その勇気を俺はすごいと思う。どうしたって屈辱的だし、社内の扱いだって想像がつくしね。

とどまるか。去るか。

早期退職なんかを含めると、50代、60代の人たちにとっては難しい人生の選択になるけど、勇気をもってとどまって、もう一度、自分にとってやりたい仕事、有意義な仕事をやらせてもらえるようアピールし続けたら、絶対またチャンスが来ると思う。

プロレス界でも、ここ止まりかなと思っていた選手が起死回生のイメチェンや言動で、いきなり輝きだす例はたくさんあるからね。

サラリーマンに置き換えるなら、長いキャリアで培った人間関係や根回しも駆使して、「この人なら、まだ任せられる」と思わせるだけの自己プロデュースが必要になってくるかもしれないね。

オフィスで朝の挨拶をするシニア男性
写真=iStock.com/Edwin Tan
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