カジノ配信をしていたインフルエンサーはSNSを閉鎖、削除
ということで、わが国のオンラインカジノを巡る状況は、この9月を境にして状況が一変した。長らく海外オンラインカジノの「グレーゾーン」論が蔓延していたわが国では、自身が海外オンラインカジノを遊んでいることを隠さないどころか、SNSなどを通じて積極的にそれを発信してきた者も多くあったが、そのようなSNSの一部アカウントでは過去投稿の削除やアカウントそのものの閉鎖などが発生し始めている。
ここまでわが国の海外オンラインカジノ利用を取り巻く歴史的経緯や法律的な解説を行ってきたが、最後に今後の展開について言及しておきたい。
今回、2016年以来の大型摘発があったことで、国内の決済代行業者はもとより、国内プレーヤーもオンラインカジノでの賭博が大きなリスクと認知され、それが抑止力として働くこととなった。
しかし、実はオンラインカジノの違法性を巡る一般認識においては、弊社「国際カジノ研究所」が2020年から続けている調査に基づくのならば、それを正しく「違法である」と認知している層は全体の4割程度に過ぎない。この傾向は直近2023年7月に行われた調査においても変わっておらず、全体のおおよそ6割の層が国内からの海外オンラインカジノ利用に対して「グレーゾーン」、もしくは「適法である」という誤った認識を示しているのが実情である。
要は、海外オンラインカジノ利用が違法であるという認知自体がいまだ一般に浸透しておらず、それ故に安易な賭博行為に手を染めてしまう者が絶えない。そういう構図が続いているわけで、まずは海外オンラインカジノ利用の違法性の認知向上が必須なのだ。
カジノへ送客するアフィリエイターという害悪
この対策に関しては、昨年になって警察庁および消費者庁がやっと重い腰をあげている。2022年11月、警察庁および消費者庁は両庁の共管事業としてオンラインカジノ利用の違法性の社会認知を広めるためのキャンペーンを開始した。「オンラインカジノは犯罪」とデカデカと書かれたポスターは、現在、国内パチンコ店などを中心に掲示され、現在もキャンペーンが継続されている状況だ。
そして次に考えられる施策が、アフィリエイターの摘発だ。今年の摘発はもとより、それ以前の摘発においても海外オンラインカジノ利用者と共にその決済機能を担う代行業者が摘発されているが、実は国内にはまだ他にも海外オンラインカジノと深くつながり、そこから収益を得ている業者が存在する。それが、国内で海外オンラインカジノのマーケティング機能を負っているアフィリエイト業者の存在である。
これら業者はオンライン/オフライン含めた様々な広報活動を通じて、海外オンラインカジノに新規利用者を送客し、その実績に基づいて報酬を獲得する者たちである。実は、わが国において海外オンラインカジノの利用者が減らないことの一端には、このようなアフィリエイト業者が水面下で国内利用者の勧誘行為を行っている実態があり、今回摘発された決済代行業者と併せてこれら業者の活動を抑制することもとても重要なのだ。