被害者の告白に耳を傾け、寄り添うことが次なる加害を防ぐ

ですから、被害を受けた人たちに対して、あなたの話してくれたことを信じますよ、どうすれば良いのかいっしょに考えていきましょう、という周囲のサポートは、被害のケアという側面だけでなく、加害化への抑止にもなり、非常に大切なはたらきかけなのです。特に男児であれば、打ち明けたのに信じてもらえなかったということも起こりがちなので、彼らの話に耳を傾け、支援していくことは重要なことです。

ただ、実際にはサポートが受けられず、苦しんだり加害行為を起こしたりすることも起こっています。特に、自分がされたことを再現することで、自分の苦しみを乗り越えようとする「マステリー現象」という行動現象が起こる可能性があることは憂慮すべき事実です。

架空ですが典型的な例を挙げてみます。ある小学校低学年くらいの男の子が公園で遊んでいて、そこで40代くらいのおじさんと仲良くなりました。そのおじさんのことをすっかり信頼し警戒心を持たなかったその子は、おじさんに誘われるままにおじさんの家に行きました。男の子はそこで性器を触られたり、なめられたりして、非常にショックを受け、「どうしたらいいんだろう、気持ち悪くて仕方ない」という経験をしてしまいます。

その後、そのモヤモヤした気持ちは、同じ公園にいた幼稚園児の性器を触ることでスッキリすることを覚えました。その後も、時折生じる性的衝動は、同じようなことをすることでしか収まりませんでした。このように、(多くは無意識的に)自分がされたことを他人にすることで不快な気持ちを取り除こうとするのがマステリー現象です。要は「トラウマ反応としての行動化」と説明できます(※2)

一部で報道されているように、もしジャニー氏が過去に性被害を受けていたのだとしたら、氏が行った加害はマステリー現象として説明できるのかもしれません。

家族のコミュニケーションが子どもの健全な性の発達を支える

ここまで読んできて、もしわが子に小児性愛の兆候が見られたら、どうしたらいいのか……。子どもを持つ親として心配される方もいるかもしれません。

大切なことは、お子さんが小児性愛性をもっているものなのか判断することは難しいし、それ自体は問題ではないということを理解しておくことです。それでも、将来的に加害行為をするようなことにならないよう、普段からの親子のコミュニケーションは考えてみるべきでしょう。

リビングルームで母親から励まされている子供
写真=iStock.com/takasuu
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