旧統一教会が恐れる解散請求命令と「念書問題」
旧統一教会の解散請求命令に向けて、文化庁は10月12日に宗教法人審議会を開く方向で調整しているとの報道がありました。40年以上の長きにわたって引き起こされ続けた霊感商法、高額献金の問題解決のための重要な一歩が踏み出されようとしています。
しかし、被害救済に関する問題は山積しています。そのひとつに念書問題があります。
9月27日に、立憲民主党を中心とする国対ヒアリングが開かれました。前半では、平成26年(2014年)に旧統一教会に関わり始め、2022年7月の安倍元首相の銃撃事件以降に脱会した元信者70代のAさん(2500万円以上の被害)と、Bさん(1700万円以上の被害)がご自身の体験を話して、2人の代理人である全国霊感商法対策弁護士連絡会の中川亮弁護士も説明しました。
特にAさんのケースは驚くべきもので、2000万円以上の献金をさせられた後、「先祖解怨のためのお金がない」と教会の婦人部長に話をすると、息子の定期預金から無断で引き出すために「統一教会の男性に委任状を書いてもらえばよい」と指示されたと言います(※)。
※参照記事〈悪質な高額献金の手口 息子のお金を引き出すために「統一教会の男性に委任状を書いてもらえばよい」の指示〉
国対ヒアリング後半では、AさんBさんとは別に、被害者家族の60代の中野容子さん(仮名)本人からの話がありました。彼女の母親は、信者時代に1億円以上の献金をしています。中野さんは言います。
「AさんBさんが大変な思いをされて、力を振り絞るようにお話をして下さいました。旧統一教会は本人の承諾なく献金させた。不当としかいいようのない献金行為です。Aさんは金銭的被害だけでなく、つらい思いをさせられた精神的被害を受けていますが、私の母も似たような被害を受けました」
中野さんの母親の献金で大きかったものに、「父親名義の金融資産」があります。
「高齢の父が病気になり、母はアベル(教団の上司)からの指導で父に無断で献金を行いました。父は信者ではありませんでしたので、何も知らないままに行われたことです」
中野さんが記録した資料には次のように書いてあります。
「当時70代の母親は2004年に旧統一教会に入信した後、翌年9月に病気で療養中の父親名義の1億円近い金融資産が母親によって出金され、それが献金、物品購入に充てられました。(金融資産のあった)証券会社での手続きは母が行い、常に運転手兼監視役として女性信者が付き添っていました。(中略)しかし2016年になってから母は、自分が父名義のお金を献金してしまったことを強く後悔して『どうして、あんなことをしたのか』『(あの時は)頭がおかしくなっていた』と話していました」
教団の教義では、信者はアベルの言葉は絶対に従わなければなりません。自分の事情より、教義を優先しなければならず、もし、上からの指示に自分が罪悪感を覚えれば、それ自体、自らを厳しく戒めなければなりません。そのように刷り込みをされていたのです。