選挙となれば、過去3年の民主党政権の迷走と失政と背信への批判は強く、民主党大敗を予言する声が圧倒的だ。民主党のリーダーの1人である小沢鋭仁(元環境相)は自嘲気味に言う。
「同じ民主党政権でも、政権交代時の鳩山・小沢体制といまの野田さんでは、役者も質も決定的に変わってしまった。いまは完全に民主・自民の連立政権。次の選挙は民自公のグループと新興勢力の対決になる。総選挙後、本当に連立政権になるのか、負け方がひどければ政界再編までいってしまうのか。民主党と自民党の二大政党の対立という構図は、もう終わったのではないでしょうか」
次期総選挙では民自両党とも過半数に届かず、第三極が伸張するという予想は多い。日本政治は二大政党時代を終え、次のステージを迎えるという見方が強くなっている。だが、第三極といっても、それぞれの政党が目指す方向はばらばらで、現状では結集して一つの政治勢力を形成するのは困難な情勢だ。
北海道の地域政党を自負する新党大地の鈴木宗男代表(元衆議院議員)は、6月5日に小沢元民主党代表と夕食をともにしながら話し合った。
「小沢さんから『これからは地域政党の時代。北海道は新党大地、東北は自分で旗を揚げる。愛知には大村秀章知事や河村たかし名古屋市長の会があるから、連携できればやっていこう。大阪も維新の会と協力できるなら協力していきたい』という話があった。総選挙後、民自両党とも過半数が取れず、間違いなく連立の枠組みの話になる。そのときは『官僚支配打破』だけで結集しても国民の支持と理解が得られる。各党がそこで固まることができる。みんなの党などはわれわれや小沢さんの党とは近いと思う」
小沢や鈴木は、目標や利益を共有する各地の地域政党が緩やかに連合する多党制を描いているようだ。政権構想や理念の問題は後回しにして、まず総選挙を勝ち抜くという選挙優先の発想が色濃い。
みんなの党の渡辺代表は異を唱える。
「基本政策と政治理念が一致しなければ政党にならない。それがきわめて近いのは大阪維新の会。選挙になれば、お互いの相乗効果の発揮しやすい態勢を組むことが求められる。橋下徹大阪市長は次の総選挙には出ないと言っているので、国会はわれわれに任せてもらえばいい」