アマゾン側の反論
こうしたアマゾンの要求が、ほかの小売業者に対して価格を下げようとする納入業者を減らし、価格の高止まりを招いていると当局はみている。カリフォルニア州司法長官は「アマゾンの市場支配が続き、アマゾンは出店者らにますます手に負えない要求をするようになっている」と厳しく非難した。
アマゾンはカリフォルニア当局の提訴に対し、声明で強く反発した。「司法長官は、小売業界を根本的に誤解し、アマゾンの取引慣行を誤解している。アマゾンは低価格を含め、お客様に最高のショッピング体験を提供することを目指している。もし司法長官が勝訴すれば、アマゾンはより高い、競争力のない価格を顧客に提示することを余儀なくされるだろう。それは消費者と出店者を傷つけるだけだ」
あなたはどちらの言い分が正しいと思うだろうか。安く買えるのなら、出店者や納入業者が苦しんでもやむを得ないのか――この問題はそんな問いを私たち消費者に投げかけている気がする。
我々は奴隷みたいなもの
日本の出店者も苦しんでいる状況は同じだ。ある出店者はこう言い切った。
「アマゾンは表向き『出店者のため』とか言うが、実際は向こうが親分、出店者は奴隷みたいなもの」
一通り話を聞いた後、この出店者が最後に語った言葉が、強く胸に響いた。
「安ければ確かに嬉しいし、返品でも何でも受けてくれるアマゾンは消費者にとっては素晴らしいかもしれない。でも、アマゾンが出店者をいじめればいじめるほど、出店者に関わる人たちも追い込まれていく。家族、親戚、身内の繋がりなどで、出店者と関係のある消費者もいるだろう。アマゾンの便利さは回り回って自分の首を絞めることになるのではないか」
私たち消費者はアマゾンで商品を安く買い、速く配送してもらい、その恩恵を受ける。しかし、便利なサービスの裏ではアマゾンの苛烈な要求に取引先が苦しんでいる。