転職面接の「自己PR」では、自分の実績をどのようにアピールすればいいのか。転職エージェントの森本千賀子さんは「前職の成果を盛り過ぎてもよくないが、謙虚になりすぎるとマイナス評価になることがある。職場で好印象につながる謙虚さや謙遜は、面接の場では、『あなたは何をしたのか』と疑問を抱かれ、むしろネガティブな印象につながる」という――。
履歴書を確認しながら面接をするマネジャー
写真=iStock.com/Wasan Tita
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「謙虚さ」は、採用面接ではマイナスになることも

皆さんが現在の勤務先で成果を上げ、「社長賞」「MVP」などを受賞したとしましょう。他部署の人から「おめでとうございます。すごいですね」と声をかけられたら、どう返しますか?

「私だけの力ではなく、チームメンバーみんなで上げた成果なんです」
「上司と同僚に恵まれたんです。いろいろと助けていただきました」
「たまたま運が良かっただけです」

このように答える人は多いのではないでしょうか。特に女性はその傾向が強いと感じます。

日本の組織において、「謙遜」「謙虚」は美徳とされています。自分の実力を誇示するのではなく「~のおかげ」と周囲に感謝を示せば、好印象を与えるでしょう。

しかし問題は、これと同じことを「面接」の場でやってしまう人が少なくないことです。

面接官が聞きたいことは何か

職務経歴書で「○○賞を受賞」という記載を見た面接担当者が「すばらしい成果を上げられたのですね」と振ってきたら、自己アピールのチャンス。ところがそこで、先のように「第三者のおかげ」「運のおかげ」と謙遜し、それだけで終わってしまう人が多いのです。

残念ながら、面接担当者は「謙虚な人物だ」とプラス評価はしてくれません。

「で、あなたは何をしたの?」

面接担当者はそれを聞きたいのです。

「あなた独自のどのような戦略や工夫によってその成果を上げることができたのか」

さらに、「その行動やノウハウを、自社でも再現できそうか」

面接担当者が注目しているこの部分までしっかりと伝えなければ、評価にはつながりません。

つまり、大切なのは「自己分析」です。成果に至ったプロセスについて、自身が「何を課題として」「どんな戦略を立て」「どんな工夫をして」「こんな障害をこのように乗り越えて」……といったストーリーを語れるように言語化しておきましょう。

「チームメンバーの協力のおかげ」が事実であったとしても、「協力してもらえるような関係の構築」「メンバーが仕事をしやすい環境作り・配慮」など、あなたの努力が功を奏したポイントが必ずあるはずです。それを分析することで、自分の「強み」を自己認識し、アピールしましょう。