駒沢女子大学人文学部教授
富田 隆

1949年生まれ。心理学者。上智大学大学院文学研究科博士課程修了。専門分野は認知心理学。あらゆる切り口で深層心理を鋭く分析。『もう婚活はいらない』など著書多数。

「女性が男性に惚れる要素は、一言で表すとパワーです。肉体的な力、経済力、想像力、リーダーシップ、社会的能力など、どんなパワーに惹かれるのかは人それぞれ。ただし調査によると、結婚相手に一番求めるのは健康であることです。恋愛とは違い、相手に生き延びてもらわなければ困るからでしょう。健康は最もベーシックなパワーであるといえます」

いわゆる美人にセクシーさを感じる人が多い男性とは大きく異なるのだ。富田さんは、欧米諸国と比べて階層間の流動性が高く、大卒でなくても成功する人が多い日本においては、学歴をあまり深刻にとらえる必要はないと主張する。

「今の生き方のほうが大事です。30代になっても学歴という過去を振り返っているようでは頼りなく思われるでしょう」

自分も相手も学歴を忘れるほど現在が充実している男性は、やる気さえあれば結婚相手探しに困ることはなさそうだ。

厳しい立場に置かれる30代以上の女性

空前絶後の売り手市場にある男性に比べ、厳しい立場に置かれているのが30代以降の女性だ。「婚活に完全に目覚めている」20代女性が、30代の男性まで視野に入れて果敢に「競り落とし」にかかっている中、30代女性には「何なのよ。この流れは?」と戸惑い交じりの焦りが募る。同世代の目ぼしい男性がどんどん落札されていくのだから当然だろう。結果として、30代前半女性と40代半ば以降の男性が結ばれる「年の差婚」が相次ぐ。