中国政府も投稿を容認している?

2年前の2021年8月、大連市で「盛唐・小京都」という京都と唐の街並みを再現し、土産物なども売る日中共同のプロジェクトがオープンしたが、営業開始直後、中国のネット上で「これは日本の文化侵略だ」という批判が巻き起こり、営業休止にまで追い込まれたことがあった。

当時、9月18日の柳条湖事件(満州事変の発端となった事件)を前にして、中国メディアは国威発揚につながる言葉で国民を煽っていたが、そうした中国社会の「空気」が大きく影響したのではないか、と言われた。

このように、中国のSNS上では、政府の高官の発言や、社会の空気を察知して、日本批判を繰り広げ、簡単に広告収入を得ようというやからが急速に増えている。彼らは真実が何であるのかなどに関心はなく、自分たちの行為の影響力も考えず、ただお金もうけができればいい、注目を集めればいい、と考えている。

中国の情報統制が厳しいことは有名だが、中国政府への批判はすぐに検閲され、削除されるのに対して、政府の方針と合致した行為であれば、SNS上の動画や投稿は削除されない。投稿者はそうしたことを十分にわかっているから、今回こうした行為に及んでいるのだろう。逆のいい方をすれば、政府もこうした迷惑行為を容認しているとも取れる。

中国人のスマホの画面に表示されたSNSアイコン各種
写真=iStock.com/c8501089
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「日本産の海産物不使用」という張り紙まで

在北京日本国大使館では26日、SNSで「迷惑電話は犯罪行為」と警告し、中国政府に厳正な対処を求めた。現地の日本人学校にも卵や石が投げ込まれたりする事件が発生。大使館周辺には大勢の警察官が配備され、中国在住の日本人に、外出する際には、不必要に、大きな声で日本語を話さないよう注意を呼びかけるなど、緊張が走っている。

28日、私は北京でラーメン店と日本料理店を開く友人にそれぞれ話を聞いてみたところ、ラーメン店は「うちは中国人経営の店だと思われているようで、今のところ、迷惑電話もないし、影響はありません。お客さんもいつも通りです」という回答だった。

日本料理店は「やはり少し客足は落ちていますが、冷静に、応援してくれている中国人もいます。こちらでは、政府からの要請で、店頭に『日本産の海産物不使用』という張り紙をはっています。長期戦になるかもしれませんが、がんばります」と話していた。迷惑電話などは、主に日本国内に対して行われているようだ。