成果にかかわらず最初は感謝から始める

初めてしたことには、成果の良し悪しにかかわらず、感謝や称賛をあげます。なにごとも、最初の印象が、とてもとても大事だからです。

歌舞伎の名門では、幼い子をデビューさせるとき、細心の注意を払うと言います。ひいき筋にご挨拶して回り、花道をひいき筋で埋める。先代、先々代からのごひいきさんたちは、愛らしい後継者が登場しただけで、どっと沸いてくれる。手を挙げれば拍手、足をあげれば拍手、転んでも拍手。自分の一挙手一投足に、客が喜んでくれる。

そんな初舞台の「成功体験」は、潜在意識の奥深く入り込み、これからの役者人生のすべてにわたって支え続けると信じられているからです。実際、そうである役者さんたちが多いのでしょう。

家事を手伝えば、妻が幸せになる。そんな刷り込みがまずは必要です。最初のうちは、とにかく感謝して、前回よりも成長があれば、それを讃えます。3歳の歌舞伎役者が、桃太郎の衣装を着て、一生懸命舞台で踏ん張っているのと同じだと思ってみて(微笑)。

洗濯かごを持つ男性
写真=iStock.com/AaronAmat
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相手にリーダーになってもらう

家事のパートナーとしては、「あらゆることをちょこっと手伝ってもらう」が、一番便利なのですが、それだと、夫の「できないこと」が、自分のタスクの手戻りとなって、イライラすることから抜け出せません。

なので、基本、家事は一緒にはやらない。相手に最初から最後までを一貫して任せる担当制にすることをおすすめします。しかも、リーダーに任命します。

定年退職後の我が家の夫は、かなり完璧に洗濯リーダーをこなしています。持ち前の几帳面な性格も手伝って、今やプロフェッショナルと呼びたいレベル。畳み方も、「ホテルか!」というくらいの出来です。現役バリバリ世代の夫たちには、いきなり洗濯リーダーは難しいでしょうから、「麺を茹でる」とか「庭の水やり」とか、ライトなタスクから始めては? 「麺を茹でるのは、これから、あなたの役割にしてほしい。私はよく茹ですぎるから。その代わり、あなたの使いやすい道具を揃えるわ」のように。

我が家の夫の蕎麦茹での腕も、いまや超一流。市販の乾麺が、生麺のような味わいに仕上がりますよ。専門職制、お試しあれ。