人生をいい方向に導くためにはどんな心の持ち方をすればいいのか。心理学者のキャサリン・A・サンダーソンさんは「知能や性格などの基本的な特質は固定されているというマインドセットより、努力次第で変化するものだと考える成長型マインドセットが心理的・身体的な幸福感、人間関係の質、寿命にまでいい影響を与えている」という――。

※本稿は、キャサリン・A・サンダーソン『ポジティブ・シフト 心理学が明かす幸福・健康・長寿につながる心の持ち方』(ディスカヴァー・トゥエンティワン、本多明生訳)の一部を再編集したものです。

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マインドセットとは何か

ステレオタイプ以外に、私たちの行動は、自分自身や世の中に対して身につけている特定のマインドセット、あるいは心の枠組みによる影響も受けます。私たちのマインドセットには、思考や信念、期待が含まれますが、マインドセットは私たちの人生における出来事の捉え方と反応の仕方を決定づけます。

マインドセットには自分の能力、特性、特徴に対する自己認識が含まれます。自分は楽観的なのか、悲観的なのか? 数学が得意なのか、それとも苦手なのか? 人付き合いが好きなのか、それとも内向的なのか? つまり、私たちの個性とは、自分自身を個々人として定義するものなのです。

マインドセットの基本的なポイントについて説明します。マインドセットとは、これらの属性が時間の経過とともに変化する可能性について、私たちが身につけている信念のことです。

スタンフォード大学のキャロル・ドウェック教授(心理学)は、このような信念が人々によって異なることを示す数多くの研究を行いました。

例えば、ある人々は、知能や性格などの基本的な特質は固定的で安定したものだ、と考えています(固定型マインドセット〈fixed mindset〉)。一方、別の人々は、そのような特質は可鍛かたん性があるもので、努力次第で時間の経過とともに変化するものだ、と考えています(成長型マインドセット〈growth mindset)〉。

様々な状況へのアプローチの仕方、ミスや失敗への対応、課題の捉え方と対応の仕方は、あなたのマインドセットが固定型なのか、それとも成長型なのかの影響を受けています。

マインドセットがどれほど私たちの行動に強く長期的な影響を及ぼすのか、について一例をあげます。