幸福になれるお金の使い方は何か。心理学者のキャサリン・A・サンダーソンさんは「有効なのは自分のためではなく、友人や家族、そして見知らぬ人など、他の人のためにお金を使うこと。また、モノではなくコトにお金を使い、他の人と共有体験すること」という――。

※本稿は、キャサリン・A・サンダーソン『ポジティブ・シフト 心理学が明かす幸福・健康・長寿につながる心の持ち方』(ディスカヴァー・トゥエンティワン、本多明生訳)の一部を再編集したものです。

車の中で男の腕の腕時計
写真=iStock.com/Botina Inna
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体験にお金を使うことが一番お得な理由

これまで、お金を増やしても幸福になれない理由を説明することに重点を置いてきました。しかし、良いニュースがあります。幸福をもたらすお金の使い方があるのです。幸福感を高めるお金の使い方の一つは、友人や家族、そして見知らぬ人など、他の人のためにお金を使う、という方法です。心理的な幸福感にとって、それ以上に良いお金の使い方はあるのでしょうか? 商品にお金を使う人(モノを消費する人)と比べて、人生経験にお金を使う人(コトを消費する人)の方が、持続的な幸福感を多く得ることができます18※。

つまり、大きな試合のチケットやブロードウェイのショー、あるいは豪華な旅行などにお金を使うことは、幸福感を高めるための素晴らしい方法です。一方、高級車や時計、靴などにお金を使うことは、幸福感に一瞬の影響を与えるだけです。ペンシルバニア大学のポジティブ心理学センターのマーティン・セリグマン所長は「物質的なものは、すべてフレンチバニラアイスのようなものです。一口目は最高ですが、七口目になると、段ボールをかじったときのような最悪の味に変わります」と述べています19※。

したがって、バスルームの改装や模様替えにお金を使うのではなく、思い出作りのためにお金を使うようにしましょう。

残念ながら、どのようにお金を使えば、最も幸福を得られるのか、についての人々の予測は、かなりの程度一貫して間違っています。人はモノを買えばもっと幸せになれる、と考えているのです。それは、人はモノを持ち続けることで、繰り返し使用したり楽しんだりすることができるからです。一方で、体験することは一瞬であり、一時的な幸せしか得られません。

ある研究は、買い物が自分にどれだけの幸福をもたらすのかを研究参加者に考えてもらいました20※。その結果、商品にお金を使うほうが、体験にお金を使うよりも幸福感が得られる、と考えた人が圧倒的に多いことがわかりました。ところが、2~4週間後に同じ人に、購入したものに対してどの程度の幸福感が得られたのかを尋ねたところ、体験にお金を使った人の幸福感のほうがはるかに高かったのです。

なぜ、モノにお金をかけるよりも、コトにお金をかけたほうがいいのでしょうか? それは、私たちが体験することを期待し、他の人と体験を共有し、追体験することができるからです。