日本の国際的な競争力を上げるにはどうすればいいか。イギリス在住で著述家の谷本真由美さんは「日本は30年前には世界競争力ランキングで1位だったが、2022年には過去最低の34位に転落した。その一因に、日本の労働者の約37%を占める非正規雇用者の存在がある。非正規が増えれば消費が落ち込むため、自社の製品やサービスが売れなくなり、デフレ一直線になる」という――。
※本稿は、谷本真由美『激安ニッポン』(マガジンハウス)の一部を再編集したものです。
35年間の日本の物価上昇率は他の先進国の10分の1
日本はなぜこんなに安い国になってしまったのでしょうか。
日本の物価が他の先進国に比べて安いということを、別の表現で言い換えると、「インフレーション率が低い」となります。
ここ30年の日本はインフレ率が低いままで推移しています。
これはどういうことかというと、日本ではものやサービスの値段が30年間上がっていないという意味です。
この値段の上がり方を知るための数字が「CPI(Consumer Price Index)」というものです。日本語では「消費者物価指数」です。
その国のものやサービスの値段を知るための数字で、CPIが上がっていれば「物価が上がっている」ことになります。この「物価が上がる状態」をインフレーションと呼ぶわけです。
日本のCPIは総務省の統計を見ると、35年前の1987年に比べると2022年は20%ぐらい上がっています。20%とはずいぶん上がっているなと思う人がいるかもしれませんが、実は他の国に比べるとかなり低い数字です。
たとえばG7加盟国のアメリカ、イギリス、カナダ、フランス、ドイツ、イタリアは35年の間に物価はなんと2倍から2.5倍にもなっています。これをパーセンテージに直したら200%から250%です。
つまり、日本のものやサービスの価格は他の国の10分の1しか上がらなかったという驚くべき事実があるのです。