食後のスクワットで血糖値を抑える

私の専門の糖尿病は、いわば一生付き合う病気です。自ずと患者さんたちと私の付き合いも長くなります。そんななかで、私自身の健康維持のために、彼らから教わることも多いのです。

私のクリニックでは、患者さんに「リブレ」という自動的に血糖値が測定できる機器を使用してもらっています。それによって、「いつ、どんなものを食べると血糖値が上がるか」がしっかり把握できるからです。また、運動が血糖値に与える影響もよくわかります。

血糖値を上げないためには、炭水化物を食べた後、すぐに運動するのが効果的です。患者さんたちは「どんな運動が一番いいか」をいろいろ試し、私に報告してくれるため、この点でも参考になることが多いのです。

患者さんから勧められ、私も挑戦してみた運動に「12秒スクワット」というものがあります。これは、普通のスクワットよりもゆっくりと膝の曲げ伸ばしを行ない、1回に12秒かけるというもの。太ももへの負荷が大きく、10回もやればかなりの運動量になります。

患者さんの実験によると、食後に15分間ウォーキングするよりも、12秒スクワットを10回やったほうが血糖値を抑える効果が高かったそうです。

私の場合、ジム通いは健康に逆効果だった

それを聞いて、炭水化物を多く食べてしまったときなど、私もしばらく行なっていたものの、股関節に違和感が出てきたため、休止しています。どうやら、私には負荷が大きすぎたようですが、運動不足の人はしばらく試してみて、ご自身に合いそうでしたら取り入れてみてもいいと思います。

サライ編集室『5人の名医が実践する「ほどほど」健康術』(小学館)
サライ編集室『5人の名医が実践する「ほどほど」健康術』(小学館)

運動は、人と同じことをする必要はなく、自分の体の様子をみながら、長続きするものを選ぶのが一番です。私は、スポーツジムの会員になったこともありますが、長続きしませんでした。クリニックの仕事が終わるのがだいたい夜7時頃ですから、それからジムに行ったのでは夕食時間が遅くなってしまいます。夕食から就寝までの時間が短ければ消化にも悪いし、肥満の原因ともなるので、私の場合、ジム通いはかえって健康に逆効果だと気づいたのです。

そんな私が、ずっと続けているのが歩くこと。わざわざウォーキングタイムを取るのではなく、通勤を利用しています。自宅からクリニックまで、歩いて片道15分。この往復30分で4000歩くらいになります。

加えて、休日には1万歩ほどの散歩をするようにしています。

さらに、寝る前の時間を利用して20~30分間、筋肉トレーニングやストレッチをしています。筋トレを行なうと、ホルモンの一種である「アイリシン」が分泌され、脳の海馬という部位の萎縮が抑えられることがわかっています。

つまり、認知症予防にも効果があるということです。

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