たいていの日本人は脂質をもっと摂っていい

私は脂質もたっぷり摂っています。こちらも誤解している人が多いのですが、口から摂取した脂質が、そのまま体の脂肪になることはありません。それどころか、健康維持に脂質はとても大事で、たいていの日本人は「足りない」くらいです。炭水化物は控えるかたわら、脂質はもっと摂っていいのです。

というのも、脂質は37兆個もあるといわれる体中の細胞の、膜をつくる原料となっていて、どんどん使われます。また、不要な分は便に出てしまうことが多いため、摂り過ぎを心配するには及びません。

ですから、油脂類もどんどん口にしますが、その質には気を配ります。なにしろ、細胞膜の原料となるのですから、おかしなものは摂りたくありません。

たとえば、安価なマーガリンやサラダ油などには、とても体に悪いトランス脂肪酸という成分が含まれています。トランス脂肪酸は心疾患のリスクを大きく上げることが医学的にはっきりしており、欧米では厳しく規制されていますが、日本はまだ緩いのです。

私が日常的に摂取している油はオリーブオイル。なかでも、エキストラヴァージンオリーブオイルと呼ばれる高品質のものを、サラダや料理にかけて食べています。オリーブオイルの健康効果は、本場スペインやイタリアだけでなく、広く世界で認知、証明されているからです。

バターは、自然放牧で育った牛の乳でつくった「グラスフェッド」と呼ばれるものを選んでいます。一般的なスーパーにはないので、ネット経由で入手しています。いずれにしても、油脂は鮮度が大切。時間が経過して劣化した油脂は体に悪いので、なるべく新鮮なものを摂るようにしています。

具体的には、オリーブオイルを買うときに、お得な大瓶でなく容量の少ないものを選んで、早めに使い切るといった具合です。

減塩するとジャンクフードを欲しなくなる

一方で、塩分の摂り過ぎには気をつけています。というのも、塩分は、心疾患や脳卒中、慢性腎臓病など、怖い病気を引き起こす高血圧の大きな原因だからです。今は、尿を調べることでその人がどれくらい塩分を摂取しているかが、かなり正確にわかります。私自身の計測結果は1日6.7g。これは、同年代の男性と比べて相当低い数字です。

日本人男性の平均は11gですが、若い人は少ない傾向にありますから、中高年の場合15gくらい平気で摂っている人も多いと考えていいでしょう。普段から減塩に努めていると、いいことがもうひとつあります。薄味に慣れるにつけ、舌が素材そのものの美味しさを理解できるようになるのです。すると、添加物にも敏感になり、自ずとジャンクフードのような体に悪いものは欲しなくなります。