20~30代の8割に「月経に関する不調あり」

では実際に、生理痛がある、もしくは月経に関わる不調を持つ女性はどれぐらいいるのかについて、見てみましょう。

内閣府が行なった、月経に関わる不調を尋ねた調査によると、月経痛がある割合は、20代で64.2%、30代で51.8%であることがわかりました(図表1)。次いで「月経による体調不良、精神不安」「月経前の不調(月経前症候群(PMS)等)」「月経不順」などが挙げられるなど、20~30代の女性の7~8割が、月経に関する何らかの不調を抱えていることが明らかになりました。

【図表1】月経に関わる不調の状況
邱紅梅『生理痛は病気です』より

実際に、勤務先で女性特有の健康課題や症状で困った経験を持つ人は51.5%と半数以上いることも、経済産業省の調査(「『働く女性の健康推進』に関する実態調査」〔2018年〕)で明らかになっています。具体的な症状として最も多かったのが「月経関連の症状や疾病」で、20代で48.3%、30代で45.0%、40代で31.2%。次に多かったのは「PMS(月経前症候群)」で、20代で30.5%、30代で27.7%、40代で19.8%でした(図表2)。

【図表2】勤務先で困った経験(従業員女性)
邱紅梅『生理痛は病気です』より

ひと月の4分の1を、不調を抱えながら働いている

50代以上になると、今度は更年期障害が一気に増加してきます。このように、働く女性たちの多くが、ひと月の4分の1を生理痛やその他の不調を抱えながら働いている状況なのです。

その結果、何が起こるのかというと、当然ながら、仕事のパフォーマンスやモチベーションの低下につながります。同調査では、月経関連の症状や疾病のために「会社を休んで医師にかかる必要がある」人が5%、「会社を休んで休養を取る必要がある」人が13.7%、「会社を休む程ではないが、仕事の能率が落ちる」人が39.9%いました。

つまり、月経が来るたびに仕事ができなくなる、もしくは仕事の能率が落ちる女性が、約6割存在しているということです。

現在、国内企業の全雇用者のうち、40%以上を女性が占めていますから、この事実が日本の労働力に対してマイナスの影響を与えていることは間違いないでしょう。