「家族の命より地球環境」なのか
なにせ暑い。気温は体温を軽く超え、暑すぎてセミも鳴かず、蚊も飛ばず、生命の危険を感じる酷暑である。
今年の7月は125年間の観測史上、最も暑かったそうだ。専門家は温暖化が進めば異常気象が常態化すると予測しているらしく、そりゃそうですよねぇと地球環境の未来やエネルギー政策の今後に思考を巡らせようとするが、すでにこちらの脳も茹で上がらんとする勢いなので何も考えられなくて困っている。
この数年、世界各地を次々と襲う異常気象。そんな中で、書籍『モラハラ夫と食洗機 弁護士が教える15の離婚事例と戦い方』(堀井亜生・著/小学館)に、衝撃的な「エセSDGs夫」なる項があって驚いた。高邁な地球環境保護の観点から妻や子どもにエアコンの使用を禁じたり、「ガソリンを使うな」と車の使用を禁じたりして家族に喚き散らし、「このままでは子どもが熱中症で死ぬ」と危機感を持った妻に離婚されたモラハラ夫がいるのだという。
毎月、水道光熱費をチェックし、高いと「環境に悪い」と妻を叱りつける。冬も暖房を満足に使わせず、寒さで子どもが風邪を引いた。かなりの高熱で医者にかかろうにも車の使用許可が下りず、妻が子どもを抱っこして往復40分かけて病院へ。
何かにつけて「地球環境が」「エコが」と言いながらも抽象論だけで、妻が具体的なことを聞くと「だからお前はバカなんだ!」と逆ギレ。
それ、本当に地球環境のためですか、違うよね? なんの強迫観念なのか、「地球環境に配慮する立派な俺の正義」のためなら家族の犠牲も厭わない。狂気の沙汰である。
時代とともに“アップデート”されるモラハラの中身
モラハラ(相手を追い詰める精神的暴力)といえば、男尊女卑とか伝統的な価値観とか、ふんぞりかえって妻や自分よりも弱い者に偉ぶる昭和の男、みたいなのを典型例として思い描きがちだ。そんな古い男は時代と共に滅んでいくのかと思ったらさにあらず、令和の時代にも令和らしい話題や姿にしっかりアップデートされて、あちこちで問題を起こしているらしい。