プラットフォームは一人勝ちの世界
“プラットフォーム”とは人が集まって交易する場所という意味だ。一度プラットフォームを築けば、そこに行ったほうがモノは売れるし、欲しいモノも買えるため、プラットフォームに富が集約される。つまり一人勝ちの世界が、形成されているのである。
日本でもITバブル崩壊後、IT企業の株価は低迷しているが、プラットフォームになっている企業は元気がいい。例えば、楽天や日本最大のSNSを運営するミクシィ、携帯電話向けゲームやSNSを提供し、「モバゲー」を運営するDeNA、医療情報サイトを運営するエムスリーなどは驚くほどの株価がついている。(※雑誌掲載当時)
私にとって、DeNAの南場智子元社長やエムスリーの谷村格社長はマッキンゼー時代の教え子で、またミクシィの笠原健治社長や弁護士ドットコムを立ち上げた元榮太一郎弁護士は、私が塾長を務めるアタッカーズ・ビジネススクールの出身者である。『新・資本論』を実践した大前チルドレンは皆大儲けでご同慶の至りだが、いずれにしてもサイバースペースで人が集うというプラットフォームの概念は、的確に時代を先取りしていた。
もう一つ、『新・資本論』が提示した重要なコンセプトに、原書のタイトルにある「インビジブル・コンチネント」、つまり「見えない大陸」がある。
金利とマネーサプライでお金の流れが決まるケインズ経済学的なオールドエコノミーに対して、21世紀のニューエコノミーともいえる、この新しい経済大陸を私は「見えない大陸」と表現した。