「糖質不足」と勘違いし、さらに糖質が欲しくなる
具体的にはどのようにして悪循環が起こるのでしょうか。
まず、糖質を取ると血糖値が上がります。それに対して、カラダはインスリンを分泌して血糖値を下げようとします。インスリンは血糖を調節する働きを持つホルモン。血糖を細胞に吸収させて、血液中の糖を減らす働きをします。血糖値は高すぎても低すぎても健康に良くありません。そのため、血糖値が高まるとそれを下げて一定に保とうとする機能が人間には備わっているのです。ここまでは正常なカラダの反応であり、問題はありません。
しかし、インスリンがせっかく血糖値を下げてくれたのに、ストレスから暴飲暴食をしたりして、さらに糖質を取り続けてしまう人も多いのではないでしょうか。慢性的に糖質を取り続けると、血糖値の上昇を抑えてくれるはずのインスリンの作用が鈍くなる「インスリン抵抗性」と呼ばれる状態になってしまいます。
細胞の中には、「インスリンレセプター」と呼ばれるタンパク質群があります。インスリンレセプターには、インスリンと結合して糖を細胞に吸収するという働きがあります。しかし、血中の糖が増えすぎると、細胞はインスリンレセプターの数を減らします。これは、糖が細胞に入りすぎるのを防ぐためです。その結果、細胞中の糖が少なくなります。
すると、実際以上に細胞内に糖質、すなわちエネルギーが足りていない飢餓状態だと脳が勘違いしてしまいます。その結果、「もっと糖質を食べないと」という命令が脳から下され、さらに糖質を取りすぎることに……。まさに悪循環です。
結果として、脳の血管に不要なゴミが溜まり、さらに脳内の動脈硬化が起こり、脳の老化がますます進んでしまうというわけです。
活性酵素の存在自体は悪いものではないが…
【脳が老化する要因②】体内の活性酸素が多すぎる
活性酸素は、細胞内でエネルギーを産生する役割を持つミトコンドリアの働きを阻害します。ミトコンドリアは脳細胞をはじめ全身の細胞中に存在する小器官で、「TCAサイクル」というエネルギーを産生する経路を通って、摂取した栄養をエネルギーに変えてくれます。
この一連の流れが、いわゆる「代謝」と呼ばれるものです。そして、ミトコンドリアが代謝を行っていく過程で、エネルギーと一緒に活性酸素が発生します。
活性酸素には、体外からの細菌などを無毒化するという有用な働きもあります。つまり、活性酸素の存在自体が悪いものというわけではありません。