朝食抜き&朝食はテキトーはNG…タンパク質摂取を

一般的に、朝の起床後は時間に追われ、朝食を簡単に済ませる一方で、労働や学業後の夕食に時間をかけ、しっかり、たっぷり食べる人が少なくない。しかし、時間栄養学の教える理想の食事はその逆だ。

人には体内時計があり、朝食は前日の夕食からの絶食を破るもので、体内時計をリセットする役割があるという。朝食に「バランスのいい食事をとってほしい」と話す古谷さんは、炭水化物を必ずとり、たんぱく質をしっかりとることが大切という。これらは脂質とともに、三大栄養素とされる。

炭水化物は米やパン、いも類などに多くあり、体内に吸収されてエネルギー源になる糖質が含まれている。たんぱく質は、肉や魚、卵や乳類、豆類に多くあり、体のなかでアミノ酸に分解されて吸収後、必要なたんぱく質に再合成される。

朝食をきちんと食べる子どもの学業成績がいいというデータが昔からあり、朝食の重要性はわかっていたと指摘するのは日本時間栄養学会副会長の大池秀明・農研機構上席研究員。ただ、その理由が長らく、わかっていなかったという。

大池さんによると、朝食の役割は、人が昼にかけて活動していくエネルギー源となる。一方、夜は人が活動のパフォーマンスを下げていくので、エネルギー消費が抑えられていき、脂肪が体に蓄えられていく。

朝食では、とりわけ「たんぱく質がかなり大事になる」(大池さん)。カロリーを確保するだけなら、炭水化物や脂質からもとれるが、体温を上げるのに必要なのは、たんぱく質になる。また体内時計は、たんぱく質と炭水化物で朝を認識するため、炭水化物も大切になるとも。大池さんは、朝食で「たんぱく質を多めにとってもらうことが健康にいい」とアドバイスする。

フライパンには2つの卵で目玉焼き
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一方、朝食を抜く人は筋肉量が少なくなりがちになる。前日の夕食からの絶食時間が長くなると、筋肉がどんどん分解され、やせてしまうという。これは好ましくないやせ方になる。筋肉は脂肪を燃やす働きがあるため、朝食抜きは肥満など生活習慣病のきっかけにもなりうる。

特に高齢者の場合は、筋肉量と朝食にとるたんぱく質の割合が比例しているとも。大池さんは「筋肉の観点から、夕食よりも朝食で、たんぱく質を多くとるのがいい」と話す。

たんぱく質が豊富な朝食となると、肉や魚などだが、朝から焼き肉などは食欲の問題もあるほか、料理するのに時間がかかり、早起きしないと難しいだろう。大池さんは、加工商品のハムやかまぼこ、卵などの上手な活用を勧める。