健康意識が高い人に最近注目されているのが「時間栄養学」だ。「何をどれだけ食べるか」という従来の栄養学に対し、「いつ食べるのがいいか」という時間的な視点を重視するもので、同じエネルギー量でも食べる時間を整えるだけでダイエットに成功するケースも多い。ジャーナリストの浅井秀樹さんが3人の専門家を取材した――。
皿の上には8時を指す目覚まし時計
写真=iStock.com/Flo
※写真はイメージです

体重計に乗れば、約10日ですっきり2kg減

健康意識の高まりで食事に気をつかう人が増えているが、時間帯を意識した食生活の重要性はまだ広く知られていない。

発足10年の日本時間栄養学会は、「何をどれだけ食べるといいか」という従来の栄養学に対し、「いつ食べるのがいいか」という時間的な視点を重視する。専門家に話を聞いた。

「きちんとリズムを整える朝食をとることと、夕食は糖質を少なめにと指導しています」

こう話すのは、管理栄養士の古谷彰子・愛国学園短期大学准教授。古谷さんの指導を受けた人たちは、摂取するエネルギー量が同じでも、食べる時間を整えた食生活をするだけで、約10日で2kg近くやせる人が少なくないという。

古谷さんの指導を受けた女性Aさん(30代)は、産後になかなかやせられなかったが、10日間の実践で体重が1.7kg減って53.8kgになった。これまでは朝食を抜く日もあったが、朝と昼の時間帯に炭水化物をしっかりととり、夕食は鍋物を多くして、野菜を積極的にとるようにした。

たとえば、ある日の朝食はサーモンソテー、ベーコンのスクランブルエッグ、白米、納豆、ヨーグルト、コーヒー。Aさんは朝食のポイントとして、魚を中心にバランスを考え、ボリュームをもたせたという。

女性Bさん(代)も古谷さんに指導を受け、食事の時間を注意することで体重が3週間で1.5kg減って56.5kgになった。食べる量は以前と変化はなかった。

Bさんは仕事が不規則で、夕食が夜10時を過ぎることもあり、ファストフードが好きなこともあって、体重が20代に3~4kgも増えていた。そこで仕事を夜7時には切り上げ、11時に就寝すると、翌朝6時頃に起床できるように。そうすることで体重減だけでなく、体のむくみがとれて、肌荒れも改善したという。

ある日の朝食を聞くと、時短を意識して、もち麦ご飯にじゃこと大根おろしをかけて食べたという。とろろ昆布の味噌汁とアボカドも添えた。また、ある日の夕食は、腹持ちのいいチキン・ガーリックステーキと、いんげんの塩こしょう炒め。血糖値を下げないように、低脂肪でボリュームをもたせることを心がけた。