朝食抜き習慣の人がするといいリハビリ食

同じく日本時間栄養学会副会長の永井成美・兵庫県立大学教授も「朝食は午後からの活力にも重要」と強調する。人が排出する二酸化炭素などから測定した「体熱産生の1日のリズム」のグラフを見ると、朝食を食べて体熱を産生し、午後を元気に過ごし、活動することができる。逆に、朝食を抜くと、この体熱産生が低調になってしまい、活動のパフォーマンスが悪いまま、1日が終わってしまう。

永井さんによると、朝食を抜く日が続くと消化器の予知活動が弱まり、空腹も感じにくくなって欠食が習慣化してしまう。こうした朝の食欲不振や胃の動きを改善するには2、3週間くらいかかるが、最初は水分からでいいので毎朝、口にすることが大事になるという。

永井さんは、朝食にスープやみそ汁を飲んでみて、少しずつ食べてみるようにとアドバイスする。いきなり固形物を食べるのは抵抗があっても、水や汁物から口に入れていき、食事につなげていくリハビリだ。

夕食は食べる時間帯を早くするのがポイント

朝食の重要性はわかったが、夕食はどうすればいいのだろうか。「夕食は食べ過ぎないほうがいい」と前出の古谷さんは話し、食べる時間帯を早めにすることを勧める。脂質は分解されにくく、たとえば焼き肉を夕食にとると、昼食よりも胃もたれしやすいのはこのためだ。天ぷらやポテトチップスなどの油ものは昼ごろまでにとるのがいいとも。

さらに古谷さんは、夜に炭水化物をとるなら穀類よりも、いも類を勧める。穀類などに含まれる地上でんぷんは粒子が小さく、血糖値がすぐ上がるのに対し、いも類などに含まれる地下でんぷんは粒子が大きく、血糖値がゆっくり上がるため。血糖値の急上昇、急下降は、動脈硬化のリスクが高まるとされる。また、遅い時間の夕食は血糖値を下げるインスリンの効きが悪くなり、血糖値が上昇しやすいことがわかっている。

夕食では「たとえば、さつまいもの味噌汁で炭水化物をとることができる。そうすれば、ご飯はいらない」(古谷さん)

前出・大池さんも「夕食は食べる量より、食べる時間帯が問題。遅いほどメタボになるリスクが高くなる」と話す。特に、脂質は分解に時間がかかり、余った脂質は中性脂肪として体内に蓄えられ、多くとり過ぎると肥満になる。

肥満は万病のもととされる。前日の夕食から、翌日の朝食まで、12時間くらいの絶食時間をつくるのがいいという。夕食が高脂肪、高たんぱく質のものになると悪影響が出やすく、「食べるなら早い時間に」とアドバイスする。

たとえば、焼き肉を夕食に食べたいのであれば、早めの時間帯に食べ始めて、早めに切り上げるのがいい。そうすることで「悪影響はかなり小さくなる」(大池さん)。

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