医者から注意されていても減らせない人は依存症予備軍

ハイリスク者に共通する“サイン”をいくつか挙げておきましょう。該当項目が多いほど、予備軍から依存症への移行が疑わしくなります。

●医者から飲酒について注意を受けても、なかなか減らせない

検診で肝機能の指標とされる「γ-GTP」の数値や血糖値が高い、あるいは糖尿病などの臓器障害があり、医者から「お酒を減らしたほうがいい」と言われても、同じくらいの量の飲酒が続いている。こうなると、臨床では依存症予備軍と位置づけます。

●お酒を飲むときだけ楽しくなれる(お茶とケーキでは楽しめない)

アルコール以外の飲食の場でも楽しくコミュニケーションできるかどうかも、リスクを読み解く重要なポイントです。アルコールの有無にかかわらず楽しめるなら問題ありませんが、ハイリスク者ほどアルコール抜きだと不足感があり、楽しめなくなります。

●飲みたくなる時間が変わる

以前は晩酌だけだったのが、飲酒欲求が表れる時間が変わってきたら要注意。とりわけ「朝から飲みだす」のはもっとも危険な兆候です。定年退職後に日中から飲み出したり、晩酌を待てずに夕食前に飲みだしたりするのも注意すべき変化です。

家族の帰宅を待てずに料理しながら晩酌を始めてしまう

●休日はお酒を飲む以外にすることがない

休日のすごし方も、危険を見極めるポイントです。もし、休日はお酒を飲むことが主で、他の活動をほとんどしない、やる気が起きないなら要注意。心理的な視野狭窄きょうさくが起こり、すでにアルコールの害が進行した不健康な状態になっています。

●夕食の支度をしながらの「昼飲み」が習慣になっている

台所で料理をしながら頻繁にお酒を飲むのも、危険ゾーンに入ったサインです。アルコール依存症になった主婦の人を「キッチンドリンカー」と言いますが、そこまで進行していないとしても、昼間から飲酒欲求が強く表れて3時ごろから飲み始めたり、酔った状態で料理をつくるようになったりしたら依存症に近づいています。

実際、依存症になった女性に話を聞くと、最初の異変が「料理をしながらの飲酒だった」との証言が少なくありません。また、味つけが以前と変わったり、食卓を囲んだとき、お母さんだけがトロンとした目をしていたりして、家族が異変に気づくこともあります。夫の帰宅を待って、一緒にワインを1杯程度飲めば満足なのか、帰宅を待てずに飲んしまうのかが分かれ目です。

ワインを前に頭を抱えるアルコール依存症の女性
写真=iStock.com/CaroleGomez
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