ウーバーイーツもフリーランスの一種のギグワーカー

ところがシニアにとって起業という言葉は、かなりハードルの高いものに感じられるのではないだろうか。すぐに思い浮かぶのは、高い専門性、優れたアイディア、豊富な資金、綿密な事業計画が必要だというイメージだろう。実際に成功するのは「身の丈起業」と呼ばれる資金などを最低限に抑えリスクをなるべく減らした起業だといわれるが、初めて起業するシニアが多いと思われるので、いずれにせよハードルが高く感じられてしまうだろう。

シニアの働き方にとって身近になるのは、ギグワーカーと請負・委託の2区分なのだ。

インターネット上のプラットフォームサービスを介して単発の仕事を請け負うギグワーカーというとウーバーイーツを思い浮かべる読者も多いだろう。しかしそれは、ギグワーカーのほんの一部にすぎない。請負・委託こそが、シニアの働き方にとっては現実的で身近な選択肢だと筆者は考える。

仕事をプロジェクト単位で請け負うのなら始めやすい

請負・委託という言葉も、慣れていなければハードルが高く感じられてしまうかもしれない。しかし、要するにプロジェクト単位の仕事を業務委託契約で行うことにすぎない。

つまりシニアにとっては、定年前から副業を行い、副業フリーランスとして業務委託契約に慣れておけば、定年後の選択肢としてのハードルは下がるのではないだろうか。さらに請負・委託を中心にフリーランスを行う場合、必要な手続きは主に個人事業主になるための開業届ということになるが、一定の手続きさえ踏めば、届自体は難しいものではない。雇用によらない働き方の選択肢は起業しかないと考えるのではなく、フリーランス全体を視野に含めることは現実的な対応ではないだろうか。

ノートパソコンの横にはノートを置いて、作業するシニア男性
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フリーランスは会社員と比べて労働市場で弱者と見られてしまうことがある。それはフリーランスの、特定の取引先だけに経済的に依存する従属性や収入の不安定さを重く見るからだ。

しかし会社員と比べてフリーランスは、実態として弱者にあたる存在なのだろうか。筆者はこのようなフリーランスへの通説に疑問を持ち、フリーランス協会と共同調査を行った。その結果が【図表4】である。