大企業ほど「創造的イノベーション」が生まれにくい

仮説というのは、企業(組織)の規模が小さければ小さいほど構築しやすい性質を持っているというのが私の持論です。これがどのようなことか、順を追って説明しましょう。

わかりやすい例でいえば、企業の事業計画があります。どんな規模の企業であっても、年度初めにはほぼ例外なく事業計画を立てると思います。この事業計画というのは、まさにいくつかの仮説に沿って立てていくわけですが、ある程度まで企業の規模が大きくなっていくと、もちろん、どの企業も最初は小さな組織から始まるわけですが、やがて企業が成長し、大きくなっていくにつれて、ある指針に沿って事業計画が立てられると、みんなが何の疑いもなくそれに乗っかってしまうのです。

結果、どうなるか。GAFAがここまで世界を席巻した要因である「創造的イノベーション」が起こりにくくなってしまいます。創造的イノベーションが起こせない企業には衰退しかありません。

アイデア発想のイメージ
写真=iStock.com/Dilok Klaisataporn
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すべては「仮説」から始まる

もし、「いま、うちの会社は事業がうまくいっている」ということであれば、いまのうちから早めに「なぜ、この事業はうまくいっているのか」「この事業がうまくいかなくなる可能性はあるのか」といった仮説を立てて検証しておくことをおすすめします。

おそらく、うまくいっている事業というのも、ある仮説から始まっているはずです。でも、うまくいっているときというのは、新たな仮説を立てることをやめてしまいます。

やがて、「業績が低迷してきた」「新しい事業を始めなければ」といったことに直面します。しかし、そのときになって事業計画の見直しや方向転換をするための新たな仮説を構築しようとしても、やたら時間がかかったり、周囲の圧力で事業の方向変換そのものが難しくなるというわけです。

これは船の舵取りと同じで、大きな船は進路を変えるために何百メートルも手前から舵を切らなければいけないので時間がかかりますが、小型の船であれば自由に小回りが利くので、あっという間に方向転換が可能だということです。

実際に、GAFAでさえ最も活気があったのはベンチャーとして立ち上げたばかりの少人数のときで、当時の創業メンバーたちはそれこそ自由に仮説を投げ合っていたのでしょう。もしかすると、なかには突拍子もない仮説だってあったかもしれません。それでも、「俺たちが世界を変えてやる」という大義のもとで、「究極の仮説」にたどり着けたのがGAFAだったということです。