失敗事例③ 入口の報酬に引かれて入社したが、入社後昇給せず

入社時に高額な給与提示を受け、それに飛びついて入社。ところが、入社後にどんなに成果を上げてもいっこうに昇給しない……そのようなケースもあります。

Cさんはあるベンチャー企業に応募。最終面接で社長から提示された金額に対し、2割増しほどの額を要求しました。社長は「出せなくはない金額」と要望を承諾。Cさんは満足して入社を決めました。

しかし、その会社にとってはかなり無理をして出している額であるため、入社後は給与を上げられません。Cさんは仕事でいくら実績を上げても給与に反映されないことに気付き、モチベーションが次第に低下。結局1年ほどで再度転職することになったのです。

「給与」で転職を成功させるには

「転職の成功」とは、入社時点で希望条件をすべてクリアすることではなく、入社後も長期間にわたって納得・満足しながら働くことです。そのためには、「入社時」という“点”で転職を捉えるのではなく、「入社後」の中長期を見据えて転職活動をする必要があります。給与の条件を考えるときには、次のルールを心がけてみてください。

ルール① ちょっと「しゃがんだ姿勢」で入社する

前職より大幅な年収アップでの入社は、実はあまりお勧めできません。

企業側としては、「これだけの報酬を用意して迎えたのだから、それに見合うだけの活躍をしてほしい」と、期待値が高まります。高い目標を設定されたり、経験がないハイレベルな業務を任されたりすることもあります。

そして期待値が高まった分、成果が上がらないと「この程度の働きしかできないのか」とがっかりされやすくもなるわけです。

自身はそうした期待をプレッシャーに感じ、成果を出すことに焦ってしまいがち。結果、空回りして悪循環に陥り、最悪の場合、いたたまれなくなって退職してしまう事例もあります。

ですから、入社時はちょっと「しゃがんでおく」のも有効です。企業側としては、前職から年収ダウンして入社してもらうと、「申し訳ない」という気持ちを持ちます。その分、本人のアウトプットが期待値を超えたときや会社が成長したときには上げてもらいやすくなるでしょう。

実績を上げることで、給与アップの交渉もしやすくなります。

黒板に描かれた右肩上がりのグラフ
写真=iStock.com/takasuu
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