東大は世界トップ大学になれる
東大にはすでに、英語のみで学位取得が可能なPEAK(教養学部英語コース)(※8)というものが存在します。これを海外の東大の分校で、教養学部の前期のみ展開すれば、ここで学んだ外国人学生が3年次以降、日本で学べる仕組みができるのではないでしょうか。それに海外分校ができれば、外国人教員の採用も進むはずです。
問題は東大で学びたい外国人学生がどれほどいるかですが、QS世界大学ランキングの評価項目のうち、東大の「学術関係者からの評判」(世界中の大学の教員に自身の専門分野でトップの研究をしている大学名を尋ね、点数化したもの)のスコアは満点(100)で、世界トップレベル(※9)。そこだけを見れば、アジアトップのシンガポール国立大学(99.5)より評価は高いのです。
クアクアレリ・シモンズによれば東大で学ぶ外国人学生のうち、大学院生が占める割合は88%(※10)。これも学術面での評価の高さを裏付けていると言えるでしょう。海外分校の設置で優秀な外国人学生が今以上に集まれば、東大の学術水準はさらに上がるでしょうし、日本政府が目指す高度人材の獲得にもつながるはずです。
おまけに東大の授業料は年53万5800円(約6060ドル)。QS世界大学ランキングで東大より1つ上のアメリカのコロンビア大学は6万2570ドルですから、実に10分の1。コストパフォーマンスは抜群で、教育実績も高いとなれば、十分な競争力があるはずです。海外大学を評価するだけでなく、「東大の海外進出」を真剣に検討するべきではないでしょうか。
※8 PEAK(教養学部英語コース)
※9 QS World University Rankings Academic Reputation
※10 外国人学生の学部、大学院比率
(構成=村井裕美)