徳川家康は75歳で没するまで無数の城を日本各地に築いた。その中で家康が最も気に入っていた城はどこか。歴史評論家の香原斗志さんは「終の棲家となった駿府城だろう。家康の生涯で2度も大工事を行っているのはこの城だけだ」という――。
駿府城 巽櫓
駿府城 巽櫓(写真=江戸村のとくぞう/CC-BY-SA-4.0/Wikimedia Commons

岡崎城、伏見城、二条城、篠山城…「家康の城」は無数にある

徳川家康にまつわる城は数えきれないくらい多い。自身が住むか、長く滞在するかした城だけを挙げても、かなりの数になる。

家康が生まれ、桶狭間の合戦ののちに独り立ちして最初に拠点にした岡崎城(愛知県岡崎市)、29歳のときから17年をすごし、そこを拠点に数々の危機を乗り切った浜松城(静岡県浜松市)、5カ国を統治する大大名になって移った駿府城(静岡県静岡市)、その後、移封になった広大な関東を統治する拠点とし、天下人になってからは徳川権力の司令塔になった江戸城(東京都千代田区ほか)。