皇嗣経由か、直接継承かはまだ決めなくていい

秋篠宮殿下も、皇嗣というジョーカー的立場を利用して、皇室の将来のあり方について、旧皇族、旧華族など伝統的に皇室との関わりが深かった方々をはじめとする各方面の方と意見交換の場を持たれ、さらには、海外の王室の方々とも自由な交流をされて、陛下などにお伝えされたらいいと思う。秩父宮殿下をはじめ昭和天皇の弟宮たちも、陛下に意見をいっておられたのだから不都合などない。

皇位継承については、陛下から皇嗣殿下を経由して悠仁親王にバトンタッチされるか、皇嗣殿下が辞退されて伯父から甥への直接継承とするかは、ベルギーのように、しばらく両にらみでいいと思う。

陛下や秋篠宮皇嗣殿下の健康状態、悠仁さまの結婚やお子さまの状況によっても、どういう形がいいかは違ってくる。ただ、一般的には、数年だけのご在位はあまり好ましくなく、悠仁さまに直接バトンタッチするか、秋篠宮皇嗣殿下にも10年くらいはお願いするように調整するかのどちらかが良いのかもしれない。

【図表】皇位継承今後のスケジュール
筆者作成

悠仁さまの帝王教育の質の高さと課題

悠仁親王の位置づけは、皇位継承順位第2位といっても、英国のジョージ王子と違って、即位までの時間は短い。上皇陛下が退位されたのと同じ85歳に今上陛下が達されるのは2045年、秋篠宮殿下は2051年だから、皇太子を経ずして即位される可能性があり、秋篠宮皇嗣殿下のもとで皇太子になられる場合でも数年とか10年程度の短期間になる。そのため、皇孫殿下でなく皇太子殿下に準じた帝王教育を必要としている。

幸い、秋篠宮殿下ご夫妻による帝王教育は、質が非常に高い。幼稚園からお茶の水女子大附属、高校は筑波大学附属高校という選択を批判する人もいるが、過去の記事で解説したように、学習院は天皇陛下と秋篠宮殿下のころと比べて、特別な教育機関としての性格を保持しているとはいえない。眞子さん、佳子さま、愛子さまに良好な教育環境を提供しているとも言いがたいのだから、これを避けたとしてもとやかく批判されるような話でない。

一方、筑波大学附属は、美智子上皇后陛下の父や弟の母校であり、平成皇室の伝統の重要な部分を引き継ぐのに好適だし、男女共学であることも好ましい。学業もこれまでのところ、順調であるようだ。

お茶の水女子大付属では成績優良だったし、筑波大附属に編入されて少々苦労されているかもしれないが、これまでよりレベルの高い学校なので当然だろう。東京大学を狙われるといった噂もあって、私はあまり賛成でないが、突拍子ないことではない。上皇陛下だってマッカーサー元帥に東京大学進学の可能性を語られたことがあるのだ(上記拙著で紹介)。

また、幼少期から、皇室ゆかりの場所や沖縄に代表される現代史の現場、さらにはブータンのような海外の君主国を広く訪れられ、必要な経験を積まれていっておられる。