その他の注意点として、通帳や証書がある国内の銀行は把握できても、ネットの銀行は書類がないことも多いため見落とす危険性が高い。また最近は海外銀行の口座やハワイに不動産を持つ人が増えているが、国や州によってそれぞれ法律が違うので注意が必要だという。

相続の手続きにかかる時間は、平均的に見ても相続発生から半年から1年(灰谷氏)。個人ですべてやるのは負担が大きい。信託銀行をパートナーに選ぶのもひとつの手段だ。

立つ鳥跡を濁さずというが、人ひとり亡くなった後の始末は並大抵のことではない。

私(筆者)の身近なところでは、現在後妻と2人暮らしの舅は、土地を長男に、家は後妻に遺すという遺言を書いている。後妻の年金から年間何十万もの固定資産税を払うのは、大きな負担だ。しかし自分が住まない土地の固定資産税を義兄が素直に払うだろうか。

たかが家一軒で大モメは、わが家も同じ。三男である夫にもどんな火の粉が飛んでくるか、予測がつかない。介護や相続では、「ありえないこと」が次々起きるからだ。

これからの世の中、専門家のアドバイスは、転ばぬ先の杖ならぬ、知恵として必要不可欠なものなのである。

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