F1の「合成燃料を使ったハイブリッド」の未来可能性
今年(2023年)に入ってからの動きとして、EUは脱炭素化への道筋として合成燃料も加える方向に舵を切ったし、先日の広島サミットでも脱炭素に向けてあらゆる技術を活用するという合意が形成された。中国でもハイブリッドも優遇対象とすることを決めた。
つまり、世界はEV一本足打法からマルチソリューションという現実的な方向へ転換しつつあるのである。
欧州自動車メーカーにもそうした「本音」が少しずつ顔を出し始めており、F1はその典型的な例なのだ。合成燃料を使ったハイブリッドは、市販車にとっても大いに可能性を秘めた技術なのである。
自動車メーカーがF1に参戦し続ける理由とは
ただし、ガソリンエンジンと合成燃料エンジンには大きな違いはない。というより、合成燃料はガソリンの代替燃料であって、現在のガソリン車にも使用可能な方向で開発が進められているのだ。
そのため、合成燃料を使うからF1に参戦する、というのはあくまで建て前論でしかない(ハイブリッド技術は進化する可能性はあるが)。
では、各社がF1に参戦する、参戦を続ける理由は何か。
F1は伝統的にヨーロッパでの人気が高いが、近年ヨーロッパ以外での人気が高まっている。レース数も1980年代~2000年代初頭までは年間16レース程度だったが、2021年以降は22レースと増えている。
開催地もヨーロッパ主体から多様化され、4レースが中東、6レースが南北アメリカ大陸で開催され、2023年はアメリカだけで3回も開催されることになっている。