小学校教員の倍率は「12~13倍→2倍」に低下

ベテランの教員が辞めていく一方で、新卒採用者が増え、教育現場が若返るのは一見、良いことのように見える。もちろん、小学校などでは一緒に走り回って遊んでくれる若手の教員は人気がある。エネルギーレベルが高いから、参観日に行っても教室全体に活発なムードが漂っているかもしれない。

しかしその一方で静かに進行しているのは、応募採用倍率の低下による“質の低下”なのだ。

教員の指導力が下がる理由の2つ目がこれだ。人気職種に優秀な人材が集まり、不人気な職種のレベルが次第に落ちていくのは、いつの世も変わらない。

一時期、小学校教員であれば12~13倍あったものが、今や東京都では2倍程度になってしまった。要するに、目の前に2人の応募者がいたら、どちらかを採用しなければいけないのだ。リクルート出身者として私企業の常識を言えば、応募採用倍率が7倍を切ったら、質が低下するとされていた。10人採用するなら70人、100人採用するなら700人、東京都のように2000~4000人規模の採用をするなら2万人近い応募者が必要だということだ(実際には応募者7911人、受験倍率2.1倍で、5年前より半減している/東京都教育委員会の発表資料より)。

出所=『学校がウソくさい』より

この10年で教員は不人気職種になってしまった

教員という職業に人気があればいいのだが、この10年でその大変さがことごとく周知され、不人気の職種になってしまった。

小学生に聞くと、将来のイメージとして「先生になりたい」という子はまだ多いし、中学でも塾の先生は人気の職なのに、実際の職業選択過程では必ずしも優先されない。

これには、学校がウソくさくなってしまったことも影響しているだろう。18歳までにその正体に気づいてしまうのだ。

杉並区立和田中学校を退任した私が5年ほど客員教授を務めた東京学芸大学は、教師になりたい学生が学ぶ現代の師範学校だ。早稲田大学の教育学部と張り合い、多くの校長を日本に輩出してきた。その本丸の教育学部は、卒業生1000人前後。

「そのうち何人が教師になると思いますか?」

答えは、およそ半分。教授時代、講演で問いかけるたび、聴衆を驚かせていた問答だが、この数字が現実を如実に物語っている(国立大学がそれではまずいだろうと文科省からも指導が入り、現在は6割近くに)。