SNSが浸透する前から「コミュニティ・サイト」を運営
2011年には、燕三条の5万坪の広大な敷地に本社・工場・キャンプ場を開設し、キャンプ場はファンの集う「聖地」となっている。さらに2022年には複合型リゾート施設もオープンし、メーカーの枠を超え、「衣食住働遊」の5つの体験を通じてアウトドアの魅力や、アウトドアを通じて人生を豊かにするライフバリューの提案を進めている。
また、ファンと繋がるのはリアルだけでなく、デジタルでも、現在のようなSNS環境ができる前からコミュニティ・サイトを運営している。2005年から運営され、約7万人のファンが集まったコミュニティ・サイトは、その後にフェイスブックのグループを経て、ファン同士が繋がるアプリ「Snow Peak Community」へ形を変えながら、キャンプの情報や体験について発信・共有して交流を深める場となっている。
「2種類のファン層」に支えられている
スノーピークは、近年話題の新しいブランドのように思われがちだが、じつは、ファンを作る商品力も、ファンと繋がる場づくりも、長きにわたって挑戦を積み重ねてきた歴史あるブランドだ。多くの日本ブランドがモノづくりにこだわりを見せるが、ファンと繋がる取り組みについて、スノーピークほど重視し、展開して、成功させている企業はそうそうない。
だからこそ、スノーピークには2種類の強力なファン層が生まれている。スノーピークは、ライトなファン層にとっては、キャンプ場で一目置かれる、高品質・高価格の「手の届く憧れのブランド」だ。それと同時に、コアなファン層にとっては、話し合いながら一緒に挑戦・成長していける「応援したくなるブランド」にもなっている。
スノーピークは、ブランドに「憧れるファン」と、ブランドを「応援したくなるファン」という2種類のファンと繋がることができた稀有な成功事例である。2種類のファンに支えられながら、ラグジュアリーを目指して挑戦を進める特別なブランドとして、勢いを緩めることなく成長を続けている。