商品には「永久保証」が付けられている

スノーピークは、1958年、新潟県三条市で金物問屋「山井幸雄商店」として創業され、その後、登山家だった創業者の「本当に欲しいものを自分で作る」思いから、登山や釣りなどのアウトドア用品を手掛けるようになった。本格的なキャンプ用品を始めたのは、1986年、現在も社長を務める、創業者の息子の山井太氏が入社して以降のことだ。家業を継ぐ前、外資系商社で欧米のラグジュアリー・ブランドを日本に展開させる仕事をしていた経験を踏まえ、自身でラグジュアリーなキャンプ用品の展開を開始した。

今も昔も、スノーピークがファンの心を掴んで放さない最大の特長は、高価格でも高品質で、デザイン性にも優れた商品力にある。商品は、品質に徹底的にこだわり、無期限に品質保証する「永久保証」が付けられている。金属加工に秀でたモノづくり集積地である燕三条の技術力と、それを活かす開発力によって、数々のヒット商品が生み出されている。

100円ショップにもある「ペグ」が4倍の値段で売れる

その1つで、スノーピークの商品のシンボルにもなっているのが、テントなどを固定するときに地面に打ち込む杭「ペグ」である。ペグ自体は、100円ショップでも売られているが、スノーピークのペグは1本で400円ほどという高価格だ。それでも、アスファルトを貫通するほどの強度を誇り、消耗品ではなく、曲がっても叩いて直し、長く愛用できる「最強のペグ」として、300万本超のヒット商品になっている。

キャンプ場
写真=iStock.com/a_Taiga
※写真はイメージです

ペグの他にも、テントやタープ、ダッチオーブンなどの調理器具、マグカップなどのテーブルウェア、焚火台など、多岐にわたるラグジュアリーなキャンプ用品が人気を集めている。これらはデザインにもこだわり、一貫して、道具の構造や用途を熟知した社内デザイナーの手でオリジナルのデザインが作られている。キャンプ用品などに精通していない外部デザイナーによる表面的なデザインではなく、道具としての独自性を確立したうえで、無駄を削ぎ落とした機能美ともいえる洗練されたデザインが、ファンの心を掴んでいる。