新型コロナウイルス感染症の5類移行で、オフィス回帰が進んでいる。人事ジャーナリストの溝上憲文さんは「リモートを続ける企業と原則出社に戻す企業の二極化が進んでいる。ここでの判断が中・長期的な企業の成長を大きく左右する可能性がある」という――。
通勤風景
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5類移行で「出社が増える」が48.6%と最多

新型コロナウイルス感染症の5類移行にともない、出社を促すオフィス回帰が進んでいる。東京都心の出退勤時刻の電車も以前よりもだいぶ混んできたように思う。コロナ禍を契機にリモートワークやフレックスタイム制が広がり、時間と場所に縛られない自由度の高い働き方が浸透したが、揺り戻しも起きている。

Job総研の「コロナ5類移行に伴う意識調査」によると、5類移行後の出社方針について会社からの通達の有無について「通達あり」が46.4%、「通達なし」が53.6%だった。出社の増減では「出社が増える」が48.6%と最も多かった。実際に大企業でもTOYO TIRE、日立建機、GMOインターネットなどの企業が原則出社に戻したと報じられている。

企業はリモート派と出社派で二極化

リモートワーク実施率も2020年5月は31%だったが、2023年1月は16.8%にまで減少している(日本生産性本部調査)。ただし従業員1001人以上は34.0%と一定数存在する。エン・ジャパンの「テレワーク実態調査」(2023年3月27日発表)では、「基本的に職場に出社している」が67%と多数を占めるが、「出社と在宅を組み合わせている」(19%)、「基本的に在宅・テレワークをしている」(13%)と、リモート派も32%存在する。

コロナ禍では原則リモート派の大企業が圧倒的に多かったが、今では原則出社派の企業がやや優勢となっている。ただ詳しく見ると、二極化の傾向にあることがわかる。

もちろんこの間にリモートワークの弊害も指摘されてきた。その1つが上司・同僚・部門間のコミュニケーションの減少である。2月に原則出社に切り替えたGMOインターネットグループの熊谷正寿会長兼社長も「企業にとって最大のコロナ後遺症は在宅グセによるコミュニケーションの減少」(2月28日)とツイッターに投稿している。