プロテインはどのように取ると効果的なのだろうか。産業医の池井佑丞さんは「プロテインは、食事だけで必要量を取るのが難しいタンパク質を、効率的に摂取するのに便利だ。特に、上手に使うことでトレーニングで痩せやすく、太りにくい体を作ることができる」という――。
プロテイン飲料を飲む女性
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トレーニングブームでプロテインが人気に

5月8日に新型コロナの感染症法上の位置付けが5類に移行しましたが、コロナ禍では長期間の外出自粛や在宅ワークを強いられ、外食もしづらいなか、健康的な食事に対する需要が高まりました。一時期はフィットネスクラブなどの利用が落ち込みましたが、巣ごもりでフィットネスやウェルネスに対する関心も高まり、自宅で手軽にできる「宅トレ」も流行。感染対策の緩和とともに、24時間ジム、完全個室でパーソナルトレーニングを提供するスポーツクラブなどの需要も伸びています。

トレーニングブームにともない、高タンパクをうたったプロテイン関連食品への注目も高まっています。従来、プロテインというと、体を鍛えている人のための飲み物というイメージがありました。ハードな運動や筋トレの際にプロテインを摂取すると、トレーニングで傷んだ筋肉を修復して大きくすることができるためです。しかし、筋肉が増えると基礎代謝も上がり、「痩せやすく、太りにくい体」を手に入れることができるといった健康や美容の観点から、性別・年齢問わず幅広い層から注目されています。

プロテインは今や、スーパーやコンビニで手軽に入手できるようになっています。マーケティング調査会社富士経済によると、プロテインなどのタンパク質補給食品の国内市場は、2022年に2549億円に達したとみられ、2027年には3071億円になると予測されています。

食事だけで必要量を取るのは難しい

そもそも「プロテイン」とはタンパク質を指します。タンパク質は筋肉の材料となるほか、内臓、皮膚、毛髪、爪など、人間の身体をつくるために欠かせない成分で、酵素やホルモンとして代謝を調節する働きもあります。必要量は年齢、性別、身体活動レベルなどによって異なりますが、運動量の少ない成人(30~49歳)の1日あたり摂取目安を例に挙げると、男性では75~115g、女性では57~88gが推奨されています。(厚生労働省 日本人の食事摂取基準(2020年版)

生の牛肉100gに含まれるタンパク質は20~30gほどで、1日の摂取目標を70gとしても、食事だけで摂取するのは難しいかもしれません。しかしプロテイン飲料やプロテインバーなどを上手に活用することで、手軽に不足分のタンパク質を補うことができます。