人間の体は多量のタンパク質を一気に吸収できない作りになっているため、数回に分けて摂取することが大切です。ただし、プロテインは消化が悪いため、トレーニング中に飲むのは避けましょう。運動中の水分補給には不向きなので、ほかの飲み物で水分を補うようにしてください。
「たくさん摂ればいい」というものではない
不足するとトレーニングの効果が出にくくなりますが、だからといってたくさん摂取すればよいというものでもありません。
タンパク質を必要以上に摂取しても、全てが身につくわけではないからです。アスリートや日常的に運動をしている方の摂取目安量は「1日に体重1kgあたり2g」とされています。2009年に発表された研究によると、それ以上摂取しても筋肉が作られるスピードは上がらなかったことが報告されています(※)。
腎臓病や尿路結石につながる
タンパク質を大量に摂取すると、吸収しきれず余ったタンパク質は、分解されて窒素になります。窒素は腎臓を通じて体外に排出されるため、タンパク質を過剰に取ると、腎臓に負担がかかります。すると腎機能が低下し、腎臓障害や慢性腎臓病のリスクが高まり、糖尿病の引き金にもなります。また、尿路結石のリスクも高まります。動物性タンパク質を多く摂取すると尿中尿酸値が高くなり、結石ができやすくなるのです。
消化不良や下痢、便秘など、消化器系のトラブルも引き起こします。タンパク質を多く摂り過ぎると、余剰分はそのまま腸へ送られます。タンパク質は消化に時間がかかるため、腸に負担がかかり腸内環境が乱れやすくなるのです。また、動物性タンパク質を摂り過ぎると、体臭や口臭が強くなることもわかっています。
そして、肉や卵など、タンパク質を多く含む食べ物は、比較的カロリーが高いものが多いため、肥満や高コレステロール血症のリスクも上がることにも、注意が必要です。
タンパク質は、食事だけで目標摂取量を取ることは難しいですが、プロテインを取り入れることで不足分を補うことができます。トレーニングを行う人はもちろん、健康や美容のためにも、上手に活用するとよいでしょう。
※Moore, D. R. et al. Ingested protein dose response of muscle and albumin protein synthesis after resistance exercise in young men. The American Journal of Clinical Nutrition. 89, 161-168 (2009).