ツブシがきく日商簿記1級

そうしたなか幅広い世代の人に、あえてオススメできそうな資格が日商簿記検定。企業活動にともなうお金のフローを記録するのが簿記で、その業務を行うための知識や技能を測る検定である。いわゆる地味な仕事の代表格だが、業種や企業規模を問わずビジネスの基礎教養として使える。検定資格だけで独立することは難しいものの、ツブシがきくことが一番の強みだ。

この日商簿記検定は1級から4級まであり、2級を取っておけば、履歴書の資格欄に記入することができる。また2級よりも数段難関資格となる1級を取得しておくと、上場企業クラスの経理業務も一通りこなせる能力が備わっているとみなされ、転職の際に有利に働く可能性が高い。

日商簿記検定取得をステップにして目指す人が少なくない税理士もオススメ資格の一つである。こちらは「税務相談」「税務代理」「税務書類作成」の独占業務を持てることが大きな強みとなっている。要は、法人や個人事業者が税金に関して税務署とやりとりする際の助言と代理代行を独占的に行うことが可能になる。

税理士の資格は「会計学」分野2科目、「税法」分野3科目に合格すれば取得できる。すべて一度に合格する必要はなく、合格した科目をプールしておけるので、ライフスタイルに合わせた挑戦が可能だ。働きながら年に1~2科目の合格を目指し、5年以内での取得を考える人も多い。

また「資格取得の難易度と使い勝手はほぼ比例関係にある」というのが私の持論だ。この点において“日本最強の資格”といえるものが、弁護士と医師免許だ。前者は法律にまつわる業務のすべて、後者は医療行為に関するものすべてを独占業務として手に入れることができる。ただし、資格の取得まではロースクールや大学の医学部に入り直すなど、長い時間と資金が必要になる。現実的に目指すことのできる人の層は限られる。

福祉関係に関心のある人ならば、まず現場の仕事を体験したほうがいい。その意味では講習の受講で簡単に取れるホームヘルパーがオススメだ。そしてオムツの交換なども厭わずできたなら、介護福祉士の資格を目指す道もある。

※すべて雑誌掲載当時

(構成=伊藤博之)
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