「明朝6時30分にレストランに来られるか」という返事

それからは、いくら相手が有名でも、返信が来なくても、たいして意に介さなかった。むしろ学生という身分を利用し、バカみたいに見えてもお構いなしで、常日頃訊いてみたかったことを思いきり質問した。

何の意味もないかもしれないが「どんな人がいるかわからないから」と、いつどうやって芽が出るかわからない種を少しずつ蒔いた。

驚いたことに、メールに返事をもらうこともあった。しかもコーヒーチャット(コーヒーを飲みながら会話する時間)を快諾してくれたり、メンターになってくれたのはもちろん、知人を紹介してくれる人まで現れた。

しかし、実際に彼らに会って話をしてみると意外な事実がわかった。これほど有名な人たちは、普段学生たちからアドバイスを請うメールをたくさん受け取っているだろうと思っていたのだが、そうではないと知ったのだ。

時には想像以上のチャンスを得られることもあった。会ってみたかったある弁護士に、少し時間をいただけないかというメールを送ったところ、意表を突く返信が届いたのだ。

「明朝6時30分までに、ダウンタウンのレストランに来られますか?」

6時30分とは、私がメールを読み間違えたのかと思ってこのように訊き返した。

「もしかして、夕方6時30分のことをおっしゃっていますか?」
「いいえ。午前6時30分です」

翌日、朝の6時30分に約束の場所に到着した。「えっ? これはなんの会合?」

早い時間にもかかわらず、その場所には私が連絡をやりとりした弁護士だけでなく、管轄の裁判官や検察官、そして別の法律事務所の弁護士の人たちまで集まっていた。その瞬間、場所を勘違いしたのかと思ったほどだった。

2人の女子大生が大きな窓のあるレストランで過ごす。
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本では決して知り得ない実践的な教えの機会に

実は、その日は女性法曹たちが周期的に設けている集まりの日だった。出勤後はそれぞれ多忙を極めるため時間の調整が難しく、朝の時間を活用して会うことにしていたのだ。

メディアでだけ知っていた人々と朝食できるなんて、何ともないふりを装っていたが、実際は緊張しドキドキが止まらなかった。

今もどうしたらあんな幸運が舞い込んできたのかわからない。普段から試験に合格した暁には一緒に働いてみたかった法律事務所の代表である弁護士にメールを送ったのがすべてだった。

そして朝6時30分までに約束の場所に行けるという理由だけで、ずっと憧れていた人たちと話をする幸運に恵まれたのだ。会合メンバーの一人が私に言った。

「朝に起きるのが大変じゃないなら、いつでもいらっしゃい。この集まりの他にも集まりは多いの。1つは朝7時にスタートよ」
「はい。これからもぜひ参加させてください!」

私は自信たっぷりに答えた。当時午前8時あるいは9時から授業があったため、6時30分の集まりに参加することは、全く無理ではなかった。

そうして週に1、2回、この会合でいつも雲の上の存在だった法曹たちの生活がどんなものかを直接聞き、学ぶことができた。本では決して知り得ない実践的な教えだった。