「赤ら顔」は危険な死の兆候

まずは、早死にした故人に見られた「死の兆候」について見ていきます。

「赤ら顔」は血行が良い証しなどといわれ、健康の代名詞と考えられたりもしますが、実はそんなことはありません。赤ら顔の人は大抵手も赤いのですが、そういった状態を漢方医学では「瘀血おけつ」といい、これは血の流れが滞っているということを示しています。私が周囲で早死にした人のことを思い浮かべると、ほとんどの人は顔が赤かったのです。

瘀血は西洋医学的にいうと、血液中にコレステロールや中性脂肪などの栄養物質に加えて、尿素窒素、尿酸などの老廃物が溜まって血液がドロドロになっている状態です。瘀血になっていると血液中の栄養素が体中へ運ばれにくくなり、代償反応として血管が拡張します。赤ら顔の人は血管が拡張した結果として、顔が赤く見えるようになります。ちなみに、冷え性は血管が収縮して血液の流れが悪くなり、これもやがて血液がドロドロになって瘀血になります。

血の流れが滞って血行が悪くなった結果、行きつく先は脳梗塞や心筋梗塞、そしてがんです。

女性の場合、手のひらや顔が赤い人でも、すぐには心筋梗塞や脳梗塞を引き起こしません。なぜなら、瘀血のサインとして生理不順や出血多量、子宮筋腫などの子宮卵巣系の病気が間に挟まってくるからです。つまり生理には、瘀血を外に捨てる浄血作用があるということなんですね。一方の男性は、瘀血と脳梗塞や心筋梗塞の間にワンクッションがないので、突然死んでしまうこともありえます。

周囲に赤ら顔の人がいれば、体調に異常がないか、体に不具合はないかを聞いてみてあげるといいでしょう。体の不調には、本人ほど無自覚ということもありえますからね。

痛みや痺れを見逃すな、体の内なる声を聞こう

頭痛は早死にと関係があり、これも赤ら顔と同様瘀血によるものです。どんな痛みも発生するのは血行が悪いところです。先ほども言いましたが、血行が悪いところでは代償反応として血管が拡張します。その際にプロスタグランジンやブラジキニンといった、血管拡張作用と引き換えに発熱や痛みを引き起こす物質が合成されます。おそらく頭痛で悩んでいた人というのは、脳の血行が悪くなっていて最終的に脳出血や脳梗塞で亡くなったのだと思われます。胸のあたりや背中が痛い人は狭心症や心筋梗塞、大動脈瘤破裂、それから不整脈の可能性もありますね。

痛みのほかには手足の痺れも危険な兆候です。手足で左右片方だけの痺れの場合は、脳から来ている場合が多く、脳梗塞や稀に脳腫瘍が原因です。両側が痺れる場合は、手先、足先の血行が悪いことが考えられます。ここでもやはり血行が重要です。

自分の血行が悪いところを調べたくても、健康診断ですべて網羅するのは難しいと思われがちです。しかし、今は脳ドックや循環器ドックという便利な検査がありますから、不安がある方は利用してみてください。一番よくないのは、痛みや痺れの発生後しばらくして症状が緩和した際に、「様子を見よう」と放置することです。頭痛や痺れという体が発するSOSのサインを見逃さず、早めに病院に行きましょう。