評価すべきは簿価ではなく、やはり時価

たとえば、筆者がある不動産を2000万円で購入したとします。その後、不動産価格が大きく下落し、1000万円程度の価値になったとしても、筆者は簿価で管理しているため、帳簿上は2000万円のままです。この状態で筆者が銀行に行き、2000万円の不動産を持っているから、この不動産を担保に2000万円の融資を依頼した場合、銀行はお金を貸してくれるでしょうか。言うまでもなく、答えはノーです。

簿価か時価かはあくまで帳簿を管理する上でのルールの問題であり、簿価にすれば、担保価値が維持されるということは現実社会ではありえません。そもそも政府は金融機関に対して、簿価評価では経営実態を正しく表示できないので時価評価にすべきという指導を行ってきたわけですから、日銀が簿価評価しているからといって、現実が大きく変わることはありえません。

仮に金利が上昇した場合、日銀に含み損が生じるのは事実であり、市場はそれを前提に動きます。場合によっては、円安がさらに進んだり、金利の上昇ペースが加速するという弊害をもたらす可能性が考えられます。

理由③民間企業を襲う業績悪化、株価下落…

では、民間企業は金利の上昇でどのような問題に直面するのでしょうか。

日本では長く低金利が続いていましたから、企業は事実上ゼロコストで銀行から資金を借りることができました。企業にすれば金利負担がゼロに近いことを意味しており、利益率が低い状態でも経営を維持できてしまいます。

世界的な流行と経済的影響
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ところが金利が上昇すると、一部の企業は金利負担が大きくなり、業績が悪化します。そうなると株価が下落したり、場合によっては資金繰りに窮するところも出てくるでしょう。業績が悪化すれば、従業員の賃金にも影響しますから、国内経済にとっては大きな逆風となります。