しかし、健康保険だけで2人で月5万円、住民税が3カ月に1度、約5万円も支払わねばならず、そこに医者の治療代や生活費も加わった。1児を持つ平塚氏の妻の病気入院も重なった。

「僕が約300万円持ち出しました。いまだに借金が残ってます」

その後、姉が苦労のすえ嫁ぎ先の地元の特別養護老人ホームでようやく空きを見つけた。が、「地元住民である」ことを示さなければ特養には入れない。そこで、姉が嫁ぎ先の実家にいったん父親を住まわせ、そこから特養に通わせる“儀式”を経てようやくそこに落ち着いた。

「母についても同様の儀式をやってから、同じ特養に入れた。向こうの実家には本当に迷惑をかけました」

約2年間の回り道。その間に、両親の預貯金2000万円を使い果たした。

「1番のポイントは、特養への申し込みの早さ。あるデイケアに、『こういうのは進行が速いから』と言われました。最初から特養に入れる準備をしないと、僕のような目にあいます。それでも、僕の場合は知己の医者がいろいろやってくれたから何とか破産せずにすんだ。それができない人は、自宅に両親を閉じ込めて、彼らの年金で食っていますよ」

では、“そのとき”に備えて、今のうちに何をやっておくべきだろうか。

「まず、両親が元気なうちに、公証役場で任意後見契約を結んでおくんです」