構造変化の予兆にどう対応するか

業界の枠組みが変わるという意味では、これまでまったく接点がなかった業界同士が融合することも視野に入れたい。携帯電話業界とカメラ業界は、もともと何の接点もなかった。しかし、携帯電話にカメラ機能がつき、両業界の垣根はなくなりつつある。携帯の国内トップメーカーであるシャープが、数年後にデジカメでも首位になっていたとしてもおかしくない。

重要なのは、産業構造が変化する予兆を捉えたときの対応だろう。新しい波が来たとき、企業のスタンスはおよそ2つに分かれる。変化を注視しつつも、ギリギリまで既存の枠組みを守ってビジネスモデル転換のタイミングを読む企業と、変化が確実になる前に、自ら渦に飛び込んで変化を起こす企業である。前者は当面の利益が大きくなるが、変化が必然になると後手を踏む。一方、後者は変化を読み間違えるリスクも高いが、成功したときの利益は大きい。どちらがいいかといえば、私なら後者を選ぶ。

富士フイルムにとって、いまやデジカメは主要な事業の一つになっている。フィルムの要らないデジカメは、フィルムメーカーにとって自社の事業を否定するようなものだが、同社はいち早くデジカメ参入を決め、淘汰の波を最小限に食い止めている。

変化の予兆をつかんだら、まず自ら動きだしたほうがいい。あくまで一般論だが、変化を読み間違えるリスクより、様子見しているうちに乗り遅れて淘汰されるリスクのほうが恐ろしい。そのためにも、既存の枠組みを超えたところにアンテナを張っておくことが大切なのである。

※すべて雑誌掲載当時

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(構成=村上 敬)