「両親は共働き」という中で育った世代
専業主婦希望者が少なく、共働き希望者が多いのは親の影響もあるだろう。1980年代は専業主婦世帯が約1000万世帯だったが、1992年に共働き世帯が914万世帯、専業主婦世帯が903万世帯と逆転し、以降、専業主婦世帯が減少の一途をたどり、2019年は582万世帯(共働き世帯1245万世帯)にまで減少している(総務省統計局「労働力調査」)。
2023年卒が生まれた2001年も共働き世帯が951万世帯であり、幼少期から小・中・高校時代は共働きがごく普通の光景であり、社会人になっても両親と同じように共働きするのが自然だと受け止めてもおかしくないだろう。
夫婦どちらかに何かがあっても生計を立てられるように
ただ、なぜ共働きがよいのか。数年前に聞いた2019年入社の東大の女子学生の言葉が印象的だった。彼女はこう答えていた。
「専業主婦になりたい女子は周囲にはいないし、私もずっと働き続けたいと思っている。結婚しても両方が働くことでリスク分散になる。今後、技術が進化し、キャリアショックが起こったときに失職する可能性もある。子どもがいて、一人だけ働いているのは結構恐いので、夫と自分の2人が働いて支え合う。しかも違う業種のほうがいい。それぞれの道を歩んで生計を営み、どちらかに何か発生しても生計を立てられるようにしておきたいという気持ちがある」
また、別の上智大学の女子学生は「結婚はしたいけどできなくてもいいかなとも思っている。飲み会で男子が「奥さんには家にいてほしい」と言ったら、女子学生が『生活できる給料を本当に稼げるのか』と怒って、頭を叩かれたことがある。専業主婦の家庭で育ったが、父が地方に転勤を命じられて小さいとき4年間暮らしたが、不便だったし、転勤をきっかけで父は会社を辞めた。専業主婦家庭はリスクもあると思っている」と語った。