「漏れなく平等に徴収する」という発想が希薄
簡単で便利で確実なやり方がなぜ認められないのかといえば、そうでない方が得な人がいるからだろう。どうしても現金取引で、紙の領収書でやり取りしたい人がいるわけだ。
さらに言えば、財務省には「皆から漏れなく平等に徴収する」という発想がそもそもないのだろう。
政治家にもないのかもしれない。
自身が現金取引でやましいことをしていれば、「すべて電子取引にして、低い税率のまま、漏れなく公平に税を徴収する」などもっての外ということだろう。
思い返してみれば、かつて政治資金が問題になった政治家も、文書通信交通費の使い道について騒がれた政治家も、領収書は出さなかった。国民には領収書を出せとうるさく言うのに、自分たちは出さないのだから呆れた話、納税者をバカにした話である。
電子取引でやれば、取引の履歴がなくなることもないし、事務コストもかからず、管理もラクだ。良いことずくめである。
私は普段ほとんど電子マネーで取引しているし、領収書をわざわざもらうのも、とっておくのもいい加減面倒だ。政府も財務省も、そろそろ世界標準のテクノロジーに適応してほしい。
増税しなくても財源はある
前項までで、増税しなくても税収アップにつながる方法をお話しした。
昨年来、防衛費増額が取り沙汰されているが、私はいろいろな所で、「増税しなくても財源はある」と話している。
では、財源はどこにあるのかについて説明しよう。
大きく分けて5つある。この5つは、ロジカルに考えればこうなるという性質のものだ。なお、財務官僚であれば、この5つは知っている。
① 他の歳出カット
まずこれを考えるわけだが、他省庁に「予算をカットされるのは嫌だ」と反対にあうのと、捻出できる金額が少ないので、ほとんどお題目である。まずやらない。
② 建設国債の対象になっているかどうかを考える
②と③をどのくらいできるかがポイントになる。これができないと、だいたい⑤に行く。財務省は②、③にはほとんど触れずに⑤に持っていこうとしている。
②は、サッカーでいえば右サイドから攻めるやり方だ。自民党の保守系の人等が私に質問をしてくる。