家族しか頼れない社会は地獄である
アメリカの社会学者タルコット・パーソンズによれば、「家族は子どもの養育とメンバーの精神的安定という2つを本質的機能とする親族集団であり、必ずしも共住を前提としない」と規定されています。
さしずめ、現代においては、必ずしも「子どもの養育」が必須条件とはならないし、血縁関係に限定されるものでもないため、「家族とは、必ずしも血縁や共住を前提とせず、構成するメンバーの経済的生活の成立と精神的安定を機能とする集団」と、新しく定義を拡張することも可能です。
血縁や共住を前提としない……つまり、血のつながりや同居することだけが家族ではないのだ。ここにこそ、家族を消滅させないひとつのヒントが隠されているように思います。
場所としての家が家族なのではなく、血のつながりが家族なのでもなく、いつも一緒に同じメンバーで同じ場所にいることだけに依存するのではなく、必要に応じて、集まったり助け合ったりする関係性、何かをするために考え方や価値観を同じくする者同士が巡り合える「出場所」を用意しておく。そういう視点も必要ではないでしょうか。
そんな「接続する家族」という新たなコミュニティの視点が、今後は求められます。家族が家族しか頼れない社会はむしろ地獄なのです。