「子どもを持って一人前」なんてナンセンス

それと、根本的に、「人間は結婚して一人前」「子どもを持って一人前」という考え方そのものを止めてしまわない?

明るい部屋で赤ちゃんの手を握る母親の手
写真=iStock.com/west
※写真はイメージです

地球の人口は80億に迫っている。私の大学時代(1980年ごろ)、地球の人口は40億ほどで、この40年で倍に膨れ上がったことになる。

かつて、ある科学者が「地球上のすべての資源をどんなに効率よく回しても、この地球に住める人類は80億まで」と言っており、他の惑星の利用も今や、人類は真剣に考えなきゃならなくなっているのである。とはいえ、他の惑星利用が実現するより先に、地球80億人時代がやってくる。

人類が、この地球という閉じた系で暮らしていくには、ある程度人生を謳歌した者たちが「定年退職」のように「定年寿命」で地球を卒業していくか、おだやかに人が減じていくかしかないのである。

まるでそのことを知っているかのように、出生率の低下が起こっている。2000年代に入ってから、男性たちの生殖ホルモンの分泌低下が指摘されるようになり、草食男子も増えているのだ。これも、自然の大きな流れなのかもしれない。

こんな時代に、「子どもを持つことが人生のマスト」と考えるのは、どうなんだろう。産みたい人は産んで、そうでない人は、人生資源を思う存分自分のために使って、地球を楽しんで生ききればいい。

祖父母は孫の人生の最高の「観客」でいい

私は、昨年、初孫をかいなに抱いたとき、「ようこそ、地球へ」と挨拶した。なんと、わが家の王子さまは、本当にあのサン=テグジュペリの『星の王子さま』の挿絵の王子さまにそっくりだったので(まぁたいていの赤ちゃんが似てるとは思うけど)。

彼がどのような人生を送ろうと、私は、彼の最高の「観客」でいるつもり。どのようなシーンにも、彼を信じて、拍手を送り続けるつもり。

そして、それこそが、祖父母の役目じゃないのかなぁと思う。