親が言えば言うほど、子どもには逆効果

親に結婚しろと言われて結婚する、あるいは、子どもを産めと言われて産む子なんて、21世紀には一人もいない。「早く結婚しなきゃ、なかなか結婚できなくなる」「子どもを産むなら、若いうちのほうが楽」は実際この世の真実だけど、21世紀の若者たちは「心を動かされないと結婚しない」し、親に言われると、いっそう心が動きにくくなるからだ。

心と感情の概念
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人間は「義務」や「目標達成」で何かをするとき、脳の中では、問題解決型の回路が起動する。この回路は、「感じる能力=心の動きをいったん止めて、目標達成のために戦略を遂行する回路」である。義務で何かを遂行するときは、誰でも、この回路が立ち上がる。

つまりね、そろそろ年だし、結婚しなきゃならない――そんなふうに婚活を始めたら、感じる回路は止まってしまうのだ。旅先で偶然出逢ったら恋に落ちるような相手でも、婚活アドバイザーに「この人、条件いいですよ。なかなかイケメンですし」なんて勧められたらぴんと来ないなんてこと、ざらにある。

「いつまでも独身のほうがいいわぁ」

ましてや、親にやいのやいの言われた挙句の婚活にロマンスがあるわけがない。親が言えば言うほど、逆効果ってわけ。

「あなたがいつまでも独身で、私と一緒に旅行に行ったりしてくれたら、そのほうがいいわぁ」くらいでいたほうが、「え。お母さんと二人で一緒に年老いていくの? 『お母さんと一緒』ならぬ『お母さんと一生』じゃん」とちょっと気後れして、新しい人生を始める気になるかもしれない(微笑)。

自分の若いときの気持ちを考えてみればいい。周りが「いい人」を連呼する異性に何も感じず、「あの人は危険だからダメ」なんて言われた相手に胸がきゅんとするなんて体験、誰にもあると思う。

子どもに、結婚してほしかったら、その二文字を、親が口にしないことである。